一緒に耐えよう、立ち直ろう!東北! がんばろう!日本!

2014年2月1日土曜日

攻め方守り方:20140127HakubaSC....

まあ毎年、意識することなく口にしていることですけどね。

時候のご挨拶ということで今年も書きます。


こないだ「おめでとう」と言ったばかりなのに、もう2月に入ったんですねぇ。

時の経つのは早いもので、いつの間にか歳を取っているのも頷けます。

....はい、白々しい挨拶はこのぐらいにして(^^;


あらかじめ、リザルトをお手元にご用意下さい♪

IPCフォーマット(SC SG(1本目):いずれも男子のみ)

国内格式(女子男子


「ジャパンパラ冬季競技大会アルペンスキー競技(通称:ジャパラ)」。

Day2の熱戦を終えた夕方、

Day3のためのチームキャプテンミーティングでは、少しざわめきが起こりました。


「明後日までの天候の変化を鑑みるに、
 明日遅く、前線を伴った低気圧が発達しながら日本海を通過する。
 そのため、同夜間から明後日にかけて荒天が予想される。
 よって、SuperCombi(スーパー複合:SC)レースを明日27日の開催に繰り上げ、
 Super-G(スーパー大回転:SG)レースの開催を28日に延期する。
 各位、準備に遺漏無きよう通達する」

うん、これはよくある話ですな(^^


SCは、SGとSlalom(回転:SL)の2本で争う競技です。

一方、SGは1本勝負。

確実に晴天が期待出来る明日、SCレースをやりましょうということですな。


それに、SCであれば、1本目のランのみでSGレースも成立しちゃう訳ですから、

仮にDay4に延期されたSGが吹雪でキャンセルになっても、

リザルト的には全レースが成立するという案配です。


こういったことも、大自然の中で行われるレースの醍醐味です。

とはいえ、σ(^^;もかつてはひどい目に遭いました。

よろしければ、「活動日誌」のDay45をご参照♪


で、一夜明けた27日。

起床直後に窓を空けるのは長年の習慣。

お日様は....はい、お隠れ遊ばされています(^^;

でも、鼻をつく冷気に満足して窓を閉めました。


この日、気象台白馬観測所で記録された0700時の気温は-9.2℃。

いい感じに冷え込んだじゃないですか(^^

予想天気図では高気圧が張り出して来るようなので、日中の天候も心配なし!

いい一日になりますように♪


今日は、世の中は平日の月曜日。

早朝の駐車場で目にするのは選手やスタッフといった大会関係者ばかり。

もう、プライベートゲレンデの感覚ですよ(^^

賑やかな雰囲気の中、リフトは上がっていきます。


1本目のSGのスタートは、さらにもう1本リフトで上がったところにあります。

スタート標高1,403m、フィニッシュ標高904m、標高差499mというコースプロファイル。


コースセッターは、ジャパンチームの切久保コーチでした。

ゲート数40、ターン数35。

標高差に対するターン数が7%で、ルール最少のターン数、

つまりハイスピードのイケイケセットですな(^^


どんよりと雲がかかっていた空も、

インスペクション(コース下見)の時間には青空が広がり始めました。

白銀の世界に、赤と青の旗がくっきりとその姿を現しています。


スタート地点の気温-3℃、フィニッシュ地点で-1℃、雪面は「Hard」と、

少し暖かいけど、申し分のないアルペン日和!

いいなあ、楽しそうだぞ(^^


そんな1本目のスタートリストはこうです!

女子Sitting(チェアスキー)クラス

1番 村岡桃佳選手
2番 大日方邦子選手

男子Standing(立位)クラス

5番 阿部敏弘選手
6番 伊藤史雄選手
7番 三澤拓選手
8番 山崎福太郎選手

男子Sittingクラス

9番 狩野亮選手
11番 森井大輝選手
12番 夏目堅司選手
14番 鈴木猛史選手
15番 谷口彰選手
16番 横澤高徳選手
17番 今野英樹選手

以上なのですが、横澤選手は戻ってこられないようですし、

大日方選手もDidNotStart(不出走:DS)となったようです。

どうしちゃったのかなぁ....


理由はともかく、村岡選手はひとり旅のレースとなりました。

ちょっと寂しかっただろうなぁ(^^;


さあ、1本目がいよいよ始まろうとしています!

スピードの向こう側を覗きに行きましょう!!


....アルペンレースというものは、上達すればするほど難しさが増していく。

無我夢中で滑っていた昨期、村岡選手は、そんなことを感じる間もなかった。

成長に合わせてスピードに対する恐怖心が薄れていく一方、

速度を増していく分、スキー操作のシビアさはより高度なものを要求される。


5km/h、1秒速くなれば、否応なしに対応を変化させなければならない。

ましてや、ハイスピードを求められるレースにおいてはなおさらだ。

昨期には思いもしなかった難しさを、彼女はコースサイドで唇とともに噛みしめていた。


こんなものだろうか。

阿部選手は自身のタイムを見て呟く。

いや、もう少しプッシュ出来るところがいくつかあった。

明日のGSでは、もう少し攻めてみる。


こんなに気持ちよく滑る事が出来たのは初めてのことかも知れない。

伊藤選手は渾身の滑りを見せた。

ターンよりスピードで勝負する方が性に合っているのか。

「代表組」に迫るタイムを叩き出す。


しかし、そう簡単に差を詰められる訳にはいかないのは三澤選手。

好タイムで後続を突き放した。


山崎選手の苦悩は続く。

この「義足の状態」では、まともに戦えない。

何かいい方法はないものだろうか?

もしくは義足を使わないという選択肢もあるのか?


狩野選手。

「高速系エース」という称号を、なんとしてでも「いい意味」で返上したいと常々考えていた。

技術系でも勝負を駆けられる、オールラウンダーとして「世界」と戦うことが理想だ。

そして、全ての種目で勝つ。

それは究極の目的でもある。


SCというレースは、特にその「強さ」が求められている。

自身のバロメーターとしてこんな格好の種目はない。

まずは得意のSGでマージンを稼ぎ、2本目のSLで逃げ切る。

当面の、SCでのタクティクスを狩野選手はそう定めた。


そのためには「危険な領域」に飛び込む必要がある。

この時、叩き出したタイムに、削れるところは無かった。


狩野選手のタイムを耳にして、目を輝かせたのは森井選手だ。

自身が想定したタイムより1秒近くも速い。

その「領域」に飛び込む快感を誰よりも貪る。


リーダーズボードに表示された、狩野選手とのタイム差は0.04秒。

コンマ1秒という時間ですら、彼らにとっては長すぎたのだ。


夏目選手にとって、SGに苦手意識はない。

「庭」のようなこのコースであればなおさらだ。

しかし、基準となるトップタイムは「イカれている」としかいいようがない。

まずは合格点と考える自身の滑りと、トップタイムとのギャップに首をかしげる。


鈴木選手のSCタクティクスは、狩野選手とは正反対。

絶対的な自信のあるSLで逆転する。

それが可能な位置でSGを終えるというものだ。


しかし今期は、それが崩れかけている。

世界で「1強」状態だったSLも、「何強」かになりかけている。

その一角がチームメイトのふたりだ。


鈴木選手のSGも、それに合わせて戦い方を変えていかなくてはならない。

しかし見せつけられた「領域」は、彼の想像をはるかに超えた次元に飛び込んでいる。

これでは勝負にならない。

1.46秒というタイム差をみて、目眩を感じた。


愛機「長野モデル」は、ライバルたちの「トリノモデル」に比べ、

高速系レースでの実力に遜色がない。

谷口選手にとって、地元でのレースで復調をアピールする絶好の機会がこの1本目である。


慈しむように、しかし的確にムチを入れ続けた彼は、

愛機をフィニッシュエリアに滑り込ませた。

好タイムでSGを終わらせる....


「スピードの向こう側」なんて、某マンガのフレーズをパクって書き始めましたが、

それを表現するには、なかなかに難しいものでした。

自分でも、そんな「領域」を経験したこと無いですし(^^;

現地で観戦してりゃ、もう少し書きぶりが違うのかなぁ?


ということで、1本目のSG、順位を整理します!

女子Sittingクラス

DF 村岡選手

男子Standingクラス

1位 三澤選手 0.00秒差
2位 阿部選手 2.19秒差
3位 伊藤選手 3.53秒差
4位 山崎選手 12.45秒差

男子Sittingクラス

1位 森井選手 0.00秒差
2位 狩野選手 0.04秒差
3位 鈴木選手 1.46秒差
4位 谷口選手 2.43秒差
5位 夏目選手 3.24秒差
8位 今野選手 31.25秒差
 DS 横澤選手

以上のようになりました。


1本目の余韻もつかの間、2本目のSLの準備に、会場は余念がありません。

SGのゲートを全部引っこ抜いて、

明日のセットのためにコースサイドの邪魔にならないところへ移動させて。


SLのセット班は別行動です。

SLスタートからセッターの指示どおりポールをおっ立ててレンチで雪面に締め込んで。

フィニッシュエリアでもタイム計測用電光管を標高で46m上に移動させて。


選手サポートの方々は、SGインスペクション用板とスキーウェアを降ろして。


選手たちはウェアに袖を通し、SGレース用板を脱いで、SLインスペクション用板に履き替えて。

そして、SLレース用板をスタートまで上げてもらって。


その間、σ(^^;は2本目のスタートまで待ったりと過ごす。

コーススタッフのみなさん、選手サポートのみなさん、本当にありがとうございます!(^^


で、その2本目、コースセッターは韓国チームのコーチがお務めです。

例え言葉が通じなくても、立て方のルールは万国共通。

黙々と作業が進んでいきました。


ゲート数47、ターン数45、対標高差が35.7%。

Day2のSLよりちょいとばかり、ターン数が少なくなりました。

レース中の忙しさはそんなに変わりませんけどね(^^;


天候や気温は....変わったのかなぁ?

はっきりと書いてありませんけど、晴れていたことは間違いない(^^

気温は....「Start : -1℃ Finish : 0℃」というのがそうでしょうね。

雪面も、変わらず「Hard」だよね?(^^;


では、準備万端!2本目スタート順の確認です!


女子Sitting(チェアスキー)クラス

No Race!(^^;

男子Standing(立位)クラス

1番 山崎選手
2番 伊藤選手
3番 阿部選手
4番 三澤選手

男子Sittingクラス

1番 今野選手
4番 夏目選手
5番 谷口選手
6番 鈴木選手
7番 狩野選手
8番 森井選手   以上です!


女子は寂しいことになりました(^^;

その分、男子には「アツいところ」をお願いしましょう!

いよいよ、スタート時刻を迎えます!!


....山崎選手の義足の挙動は、

ハイスピード下よりリズミカルな種目の方が、影響が少ないようだ。

とはいえ、まだまだ悩まされている。


伊藤選手。

1本目SGこそ好タイムだったが、SLでは「宿命」に翻弄される。

順位の逆転こそなかったが、山崎選手より遅れた2本目となった。


SLでの自己評価がまだ済んでいない阿部選手。

ワールドカップは参戦を見送り、

それに先立つNORAMカップでは、1戦目のSL2本目でDS、2戦目も走っていない。


昨日のSLが唯一の結果だ。

その裏付けとなるのはこの2本目。

出来ることを終え、三澤選手のフィニッシュを待つ。


どんな状況でも手は抜かない。

このジャパラでも、大きな舞台を想定してスタートを切っている。

彼が走っているのは、「ローザ・コテル」

彼が吸っている空気は、黒海から受ける風。

彼が断ち切るフィニッシュラインは....

リーダーズボードを見上げる彼の表情は満足げだ。


SLとなると勝手が変わる。

夏目選手は思い描いたラインの維持に手こずる。

理想とするのはチームメイトのライン。

それは高望みか?いや、そんなはずはない。

いつかは、再現してみせる。


谷口選手には模倣すべきラインはない。

そもそも愛機のターン弧は、「トリノモデル」が示すそれとは異なる。

最速ラインは自らの技術で作り出すものだ。

それが完成した時、愛機は新型と肩を並べることが出来ると信じている。


先制攻撃。

1.46秒差という小さくはないビハインドを跳ね返すには、

圧倒的なタイムを叩き出しプレッシャーを掛ける。

鈴木選手に残されている手はそれしかない。


生半可なプレッシャーなど、チームメイトには微塵の影響もない。

むしろ、その程度かと安堵させる恐れがある。

すでに駆け引きなど通用しなくなった。


この時、彼は「世界最速最高のSL」を体現した。


マージンをもって逃げ切る。

狩野選手がスタートした時、鈴木選手はまだフィニッシュしていない。

そのタクティクスが通用するのか。


いや、今は1.42秒差というマージンを守ることなど考えてはいけない。

0.04秒差というビハインドをどう跳ね返すかだ。

すぐあとにスタートするのは世界最高のプレーヤー。

間違いなく牙を剥いて襲いかかってくるはずだ。


速く。

もっと速く鋭く。


長い。

SLがこんなに長いコースだと感じた事はない。

すぐ後ろに食いつかれているような気配がする。

いや、もう既に....


リーダーズボード。

鈴木選手を振り払ったことが確認出来た。

しかし、考えた以上にマージンを使っていた。


視線をコースに移した瞬間に気圧された。

ポールをなぎ倒す音。

そのリズム。

フィニッシュエリアをにらみ続けている視線。

森井選手のその姿は、獲物を捕らえようと疾走する獣であった。


鈴木選手。

餌食となったことを覚る。


狩野選手。

捕食者が最後の門をこじ開けた時、静かに天を仰いだ....


ここにきて、森井選手はすでに「完成された感」が出てきましたなぁ(^^

狩野選手も、技術系でその実力を発揮し始めました。

これは、鈴木選手にとっても発憤材料になるでしょう!

この三つどもえの相乗効果は、どこまで高まっていく事やら♪


では、最終結果をおさらいします!

女子Sittingクラス

DF 村岡選手
DS 大日方選手

男子Standingクラス

優勝 三澤選手
 2位 阿部選手
 3位 伊藤選手
 4位 山崎選手

男子Sittingクラス

優勝 森井選手
 2位 狩野選手
 3位 鈴木選手
 4位 谷口選手
 5位 夏目選手
 8位 今野選手
 DS  横澤選手      以上です♪


さあ、いよいよ明日は最終日Day4。

「SCではない」SGレースが行われます。


SCのようなタクティクスや駆け引きの要らない1本勝負!

楽しくリザルトを見てみたいと思います。

天気、悪くならなければいいですねぇ(^^

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