サーキットというステージでは、
人間に対して何ら差別されていることがありません。
制限がかけられているのはマシンスペックのみ。
戦いの場に、男だから女だから、
子供だから年寄りだからなんて条件が付くわけでもなく、
モンゴリアンでもアングロサクソンでも、
種族を問わず「人間」であればよく、
マシンをコントロールできる身体能力があれば、
健常者でも身障者でも参加できるのがモータースポーツ。
もちろん、アルコール依存症や薬物中毒患者などは別ですが(^^;
つまり、参加可能条件は、
「適合したマシン」と「その意思」があればよし!
マシンは厳しいレギュレーションでほぼ同じ性能となっています。
勝負の行方を左右するのは、「その意思」!
つまり、誰かに負けるということを受け入れられない、
純粋な戦士であることのみが求められます。
そして、それらをジャッジするのは、
主観を伴うことは絶対にない無味乾燥した「時計」のみ。
その時計のみが、「人間」を区別します。
「速い」か「遅い」かの、たった2種類に....
その区別を受け入れられるのはたったひとり。
それは勝者のみ。
敗者は、その勝者を引きずり落とすために日々努力し続ける。
勝者が勝者たり得る時間は一瞬だけ。
引きずり下ろされたくなければ、敗者以上に琢磨しなければならない。
そんな戦士たちが、厳格な審判を受けるために、
次なるスタートラインに集結した。
ナチュラインターナショナルサーキット、
チャンピオンチップ第2戦。
ミニバイクエキスパートクラス。
唯一無二の存在になるのは誰か?
運命は、そのたったひとりの戦士をすでに決めているのか?
その運命に抗うのは愚かな人間だけであろうか?
否!我々人類には、挑戦するという義務と権利を有して....
妻「本家のレポートは、
すでに決勝終わったんだから、
早くやっちゃいなよ!うっとうしい....」
....そうですね(^^;
「新之介賞」の選考過程を連載でお送りしてきたこのシリーズ。
残すところはミニバイクエキスパートクラスのみとなりました。
総勢11台のマシンがスターティンググリッドに並んだとき、
確かに、脈が早くなりました。
冷静に見なきゃね、なんて思っていられたのも日の丸がはためくまで。
1コーナーまでのわずかな区間、
もっとも速く回転していたエンジンは、
σ(^^の心臓だったかもしれません。
それもそのはずです。
σ(^^の目に映る全てのマシンの全てのブレーキが、
完全に壊れてしまったかのような錯覚に陥りました。
あんなスピードで、
あんな金属の固まりを抱えて、
あんな狭いところへ、
なぜ平然と入っていけるのでしょう?
σ(^^;も同じようなことを、かつてはしていたはずなんですが、
その時の心境は、未だに語れるものではありません。
ましてや、見ているだけで何が解るというんですか。
この光景を、この爆音を、この異世界を、
ただ楽しむしかσ(^^には許されていませんでした。
デブデブ・ストーナー様の応援に来たというのは、
公式にも発言しておりますので周知の事実かと。
しかし、実は、この時、σ(^^の視線の先に映っていたのは、
オレンジ色のマシンではありませんでした。
スタートの瞬間から追いかけていたのは、
ゼッケン20番、チサト・パトリシア選手です。
mini-motoGP
より拝借
mini-motoGPのレポートを拝見していて、
番記者様の、パトリシア選手の評価は、
最上級のものだったと記憶しております。
果たして、どんな選手なのか、
この目に焼き付けておかねばならない!
と年甲斐もなく、興奮していた次第ですσ(^^;
(妻「何ひとつの差別もないなんてよく言えたもんだな、
この『○○○の豚野郎』が!」)
....えーと、何事もなかったかのように続けます(^^;
少し集団に飲まれかけたパトリシア選手。
そんなごちゃごちゃしたところで無茶すんなよ!
集団が整列し始める5コーナーあたりから仕掛けりゃいいんだから!
インフィールドは捨ててもいいんだぜ!
もう、この時、オレンジ色のマシンなんて、
どうでもよくなっていました(チョッピリホント^^;)
σ(^^の思いが通じていたのかな?
パトリシア選手は3~4の切り返しで集団の中へ突っ込まずに、
4の立ち上がりを意識していたかのように、
大外からゆったりとバンクさせていきます。
そうだ!
少々苦しくても、それがベストラインだ!
「6」の突っ込みで1台、
最終コーナーで並んで、
軽量を生かしてもう1台。
2Lap目のインフィールドを抜けた後、
5コーナーからが本当のスタートでいい....
「豚野郎の皮算用」が着々と進む、まだ1Lap目の4コーナー。
その瞬間、世界が凍りつきました....
「グォシャッ!」という、レーサーには耐えられない異音、
そこには、完全になぎ倒されたパトリシア選手が!
その瞬間、ライブ中継で観戦していた全世界のパトリシアファンは、
「暴動寸前」にまで興奮したことでしょう。
その悪意ある興奮の中心にいたのは....
タケ・ウッチーニ選手!
「おっさん、何しよんねん!!!」
思わず口を突いて出た汚い関西弁(^^;
すぐにリスタートを切れればまだ救われたのかもしれませんが、
マシンのどこかが、テロリストのマシンに引っかかっている....
起こさなきゃ....
もう一度走らなきゃ....気は焦るばかり。
無情にも、トップグループがその地点を通過したのは約40秒後。
その瞬間、パトリシア選手のレースは終わりました。
しかし、彼女の戦いはまだ終わっていなかったのです。
あふれる感情、こみ上げてくる涙を押さえ込んでいたこと、
「真一文字」に結んだ口元に現れていました。
(妻「口元なんて、ヘルメットで見えてないよね?」)
激しすぎる感情とは対照的に、
その走りは誰よりもなめらかに鋭く、
彼女は、誰よりも「風」に近い存在でした。
「かわいそうに」なんて言葉はレーサーにとって最大級の侮蔑。
どんなことも起こりうるのがレースであり、
その出来事を受け入れる事が出来ない人間には、
レーサーなんて務まるはずがありません。
悔しいに違いない。
あまりにも理不尽に違いない。
だけど、きっと「いい経験」になったに違いない!
チサト・パトリシア選手、
あなたをきっと大きく成長させるであろうこの出来事、
σ(^^がいちばん近くで見届けました!
いやいや、今思い出しただけでも、泣けてきそうですよ(^^;
この「ウッチーニ事件」、この日最大の出来事であったと思います。
となると「新之介賞」はチサト・パトリシア選手に!
と考えたんですけどね....
それこそ、
「かわいそうでしたで賞」とか、
「がんばったで賞」みたいになってしまいます。
σ(^^自身、そんな賞をもらっても嬉しくとも何ともありません。
パトリシア選手には、
「本当にいい経験をしたんだよ」
と心からの言葉を贈りたい。
....久しぶりに長い連載となりました(^^
我慢してお読みいただいた方には、
本当に充実した1日を過ごしたんだなと、
ご理解頂けたのではないでしょうか♪
数々の名シーン、
そしてたくさんのドラマが生まれたこのレース、
迷いに迷った「新之介賞」の受賞者、
いよいよ発表します!
....該当者なし!
「しばくぞ、ゴラァ!!!」
(by DDストーナー選手)
改めまして....(^^;
「新之介賞」の栄えある受賞者は....
4コーナーの赤い流星爆弾!
世界を敵に回した自爆テロリスト!
タケ・ウッチーニ選手!!
もう、ぶっちぎりでウッチーニ事件しかないでしょう(^^;
σ(^^も開会式で「おもろい選手へ」なんて言っちゃったもんですから、
この「事件」の首謀者を祭り上げることしかできませんでした♪
タケ・ウッチーニ選手、受賞おめでとうございました!(^^
決勝ヒートの模様は、かつて無い文字数と内容で、
本家mini-motoGP.comにて公開されております。
「タケ・ウッチーニ事件」の決定的瞬間も納められています。
どうぞあわせてご覧ください♪
さて、この選考過程で候補に挙がりながら、
惜しくも受賞を逃した選手からコメントを頂いています。
ご紹介しましょう!
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6月9日(土):「目立たないところに男の意地は隠れてる....」
匿名ことアンドレッティ様のコメント
「アンドレッティです。
先だってはお疲れ様でした。
こちらにも載せて頂いていたとは!
44歳にて15年ぶりにギヤ付きバイクに乗り
今年から参戦していますが楽しく乗っております。
練習不足で今回も最後は大破してしまいましたがまた次回がんばります!
新之介さんも御自愛されてがんばってくださいませ!」
ありがとうございました!
当日はろくにご挨拶もせずに、
勝手に記事にしてしまいました(^^;
どうか、ご容赦を。
スキーでもよく言われますが、
ミニバイクも「生涯スポーツ」に違いないですね!
末永く、お互いにモータースポーツを愛しましょう!(^^
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さあ、書くことは全て書ききったかな?
このすっきり感、久しぶりです(^^
これで、明日からのブログネタをどうしようか、
また頭を抱えることになりそうです....(^^;
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