まだ遠いところにいる間から、しっかりと構えておいてくださいね。
くれぐれも「人ごと」のように考えないでくださいよ!
特に、雨風が強くなってから、
「田んぼが気になる」とか、
「前の水路の様子を見てくる」とか、
「ちょっとそこまで♪」と、
サーフボードを抱えていくとか、
そんなお馬鹿なマネは絶対にやめてくださいよ(^^;
でもσ(^^は、そんなヤヴァイ台風が近づいているにもかかわらず、
「人ごと」のように、連載を続けていきます。オイ
この連載の最初の方でご紹介した、
定規と段ボールの関係を思い返してください。
ダンパー(段ボール)は、
ばね(定規)の「びょよよ~ん」という、
余分すぎる動きを押さえるために取り付けました。
本当なら、ばね本来の性能を殺すことなく、
ばねが動きすぎないようにする部品な訳です。
ここを理解できていないと、サスセッティングは間違った方向へ行きます。
いい例が、トリノモデルの「純正ばね&ダンパー」です。
そもそも、ばねに選択の余地がないことが始まりです。
体重別に50kg用、60kg用、70kg用、80kg用の4種類しかなくて(「特注」はあるようですが)、
「あなたの体重なら、これ!」と指定された1本で滑らなくてはなりません。
それ以外は、「重い人用」か「軽い人」用のばねしかないので、
ちょうどいいばねを求めることは元々無理なのです。
で、その指定されたばねを使うわけですが、
「このばねは、どうにも弱いぞ?」と疑問を感じた時に推奨されているのが、
ダンパーの減衰力を強めるというセッティングです。
ダンパーの減衰力を上げる、つまり「動かない」ようにしてしまえば、
乗った感じは、確かに「硬いサス」になります。
でもですよ、このセッティングの大きな間違いは、
本来のばねの動きを殺してしまうことにあります。
例えば、68kgの体重の人に用意されていたばねが「70kg用」だとして、
仮に、トリノモデルに乗っていて、ばねが柔らかすぎたと感じました。
σ(^^が独自に測定した数値では、「70kg用」のバネレートは33N/mm弱。
前回の計算方法で弾き出した、
体重68kg、装備品8kgの人に必要なバネレートは、36N/mm。
本来なら、強いばねに変えてセッティングの変更を行うのですが、
そもそも、自分より10kg以上重い人用だから、最初から違和感ありまくり。
この経験をされた方は多いと思います。
で、「70kg用」に戻すのですが、
じゃあどうするの?というのが、ダンパーでの「ごまかし」なんです。
「一秒当たりに何m動くための必要な力はいくら(kgf/m/sという単位)」
というのが、ダンパーの作り方です。
上の例え、その時のダンパーのとりあえずの圧側減衰力の設定が、
「1秒間に30mm(0.03m)動かすのに必要な力が5kgf」だったとしましょう。
減衰力を強くするという方法は、例えば、
「1秒間に30mm(0.03m)動かすのに必要な力を10kgf」にすることなのです。
それまでに1秒間に30mm動かすための力を倍にするということは、
それまで以上に動きにくくなるということです。
確かに、これならば「動かなくなる=硬いサス」と思わせることは出来ます。
でもこの方法は、サスペンションの動きに「抵抗」を加えているだけであって、
ダンパーの減衰力に「反発力」がない以上、
重心を適切に支えようとしているわけではないことが解ります。
言い方を変えますと、
沈もうとするスピードが遅くなるだけであって、
適切な位置に重心を起き続けるという、
本来のセッティングの目的からは外れるのです。
ちょっと、思い返してください。
重心の位置を適切にコントロールして、
スキーに与える影響を最小限にするのがばねの仕事。
そのばねの、「余分な動き」を押さえるのがダンパーの仕事、でしたよね?
ばねのしなやかさを犠牲にして、思うような重心移動や荷重を殺す。
ダンパーの減衰力を高めて、「硬いアシ」にするというのは、
大間違いだったことが、これでおわかりになると思います。
本来、ばねが発揮すべき「しなやかさ」などの運動性能を殺して、減衰力でごまかす。
これがトリノモデルの常識だったわけです。
ばねが弱いと減衰力を上げて動かなくする。つまり硬く感じさせる。
まあ、ごまかしにはなってますかね(^^;
この方法を逆に当てはめると、
ばねが強いと減衰力を下げるという方向になるはずですが、
減衰力をゼロにしたところで強いばねは強いのです。
むしろ、減衰力がなくなることで、
ばねが持つ余計な運動も解放されて、乗り心地は最悪になります。
ここまで書けばおわかり頂けるでしょうか?(^^
「純正」では、ばねとダンパーの「素敵な関係」など望みようもなかったのです。
唯一の例外はありますよ。
「純正」が、「その人」に完全にマッチしている場合です。
つまり、用意されたばねがその人にとって、
何が問題なのか解らないぐらいに「ちょうどいい」セッティングだった場合です。
まずあり得ない話ですが、そんな奇跡もないとは言えません(^^;
でも、やはり、まずあり得ません♪
では、次回はそんな奇跡に恵まれなかった人のために!
ばねを決めてからのダンパーの調整方法などを書いてみましょう。
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