一緒に耐えよう、立ち直ろう!東北! がんばろう!日本!

2014年1月22日水曜日

ミリ単位の勝負:20140118CopperMt.SL1....

ソチオリンピックまであと何日とか、

TV番組でも頻繁に伝えられるようになりましたね。

今期は、まれに見るメダルラッシュが期待出来るとか鼻息の荒い番組もあります♪


一方、パラリンピックはといえば、どうにも寂しい限り(^^;

まあ、開催がオリンピックの1ヶ月後と言うこともあるので、

「火がつく」のがひと月遅れなんだと期待して待ちますかね。


そうそう、既にご存じの方も多いと思いますが、

ソチパラリンピックはスカパーで全競技が放映されるそうですね。

リアルタイムで手に汗握るのも良し、録画でしっかりと堪能するのも良し。

パラがお茶の間へ届く時代になりました(^^

ありがたい事です♪


....待てよ?

するってぇとなんですか?

「見た来たような観戦記」は用なしって事ですか?(^^;


現地からの映像はもちろん、障害者アルペンスキーの情報が、

あまりにも少ないからってんで始めた「観戦記」ですが、

TVで見られるのなら何の役にも立たないじゃないですか。

どうしよう?....

身の振り方を考えることにします(^^;


それまでは、元気よく書き進めますよ!

ワールドカップCopperMt大会2日目。

この日はSlalom(回転:SL)競技が行われました。


寒波が緩んだ現地では格好のアルペン日和ということで、

たくさんのファンたちが会場を埋め尽くしています!

中には、地元に精通している方もおられますね。

どうやってこんなところに出て来たんだ?と目を疑うようなところで観戦する強者もいます(^^;


使用されるのはGiantSlalom(大回転:GS)と同じ「Rosi's」コース。

その下部にSLコースが設定されました。

スタート標高3,120m、フィニッシュ標高2,973m、標高差147mのレースバーンは、

フィニッシュエリアからかなりの範囲で勝負の行方を見守ることが出来ます。


林立するゲートボール。

1本目はゲート数45、ターン数43。

標高差に対するターン数は29.3%というプロファイルとなっています。

セッターはスペインチームのコーチでした。


ルール上、最少のターン数は標高差の30%-3ターンの42ターンです。

ということは、かなり少なめなターンセッティングということですな。

ちなみに、この標高差で最大ターン数を立てるとなると、

標高差の35%+3ターンで54ターンになります。

そんな忙しないSLなんて、想像したくもありませんやね(^^;


なぜ少ないターン数でレースを行うかというと、やはり雪面状況にあります。


スタート地点で-8.3℃、フィニッシュ地点では-7.8℃と冷え込みは弱いながらも、

前日に引き続き「Hard Packed」な雪面、つまりは「氷」。

そんな難しい雪面状況で、くるくるこまごまと回るセットだと、

きっと選手たちは次から次へとコース外へ弾き出されること山のごとしでしょう。

そんなレースをさせる訳にはいきませんものね(^^

にしても、難しいレースには違いありませんが....


ところで、「氷」の経験がない方にその難しさ恐ろしさをお伝えするには、

どうしたらいいものやらと、少々頭を悩ましています。

なかなかいい表現方法が見当たらないんですよねぇ....


氷といっても、スケートリンクや、冷え込んだ朝の水たまりのように、

「チュルチュル」と滑る氷とはちょっと違います。


ゲレンデの「氷」とは、

雪の結晶の表面が少し溶けて、

圧雪車に踏みつぶされてガチガチに固められて、

さらにキンキンに冷やされて凍ってしまうものです。


通常のゲレンデ状況なら、エッジを雪面に立てて静止します。

この時、どんなに固く踏み締められていたとしても、

少なくとも10mm程度はスキーが雪に食い込みますので、安定して立っていられます。


ところが、「氷」の上だと、1mm程度しかエッジが食い込みませんので、

ふとした拍子にチュルチュルチュルルルル....

ひどい時には、立ってられないからインスペクションもまともに出来ずに、

レースそのものを諦めたという選手もいるぐらいです。


まともに立つことすら出来ない雪面で、

ぐいぐいとターンをしていくワールドカッパーたち。

滑走ラインから、スキー板が進もうとする方向が数mmでもがずれてしまうと、

たちまちバランスを崩して、行き先はまっしぐらにコースサイドのネット!

もしくは何十mもの滑落という悲劇!

....こんな書き方でわかります?(^^;


そんなコース状況の中、ジャパンチームはどう戦うのか?

1本目のスタート順を見てみましょう!


女子選手は10カ国32名。

Sitting(チェアスキー)クラス

28番 田中佳子選手
31番 村岡桃佳選手

男子選手は16カ国71名。

Standing(立位)クラス

54番 三澤拓選手
59番 小池岳太選手
64番 東海将彦選手
72番 山崎福太郎選手

Sittingクラス

80番 鈴木猛史選手
82番 森井大輝選手
91番 夏目堅司選手
98番 谷口彰選手   です。


このレースから田中選手と東海選手が合流しました(^^

そして、狩野選手の名前がありませんねぇ....

何かトラブって安静にしているとかでなければいいのですが(^^;


では、1本目の様子はダイジェストでご紹介します!


田中選手。

自主トレを繰り返し慣れ親しんだ北米の雪だが、

それでもこの「氷」には歯が立たなかった。

完走はしたものの、大きく遅れた。


村岡選手。

トップから13.72秒遅れと、こちらも悔しい結果。


気負いすぎたか三澤選手。

こんなはずでは、の4.43秒遅れ。


小池選手は、なにか様子がおかしい。

1本目終了後、ゲレンデを後にする。


東海選手は古傷を労りながらの滑走。

無理をせず手を抜かず。


山崎選手には、まだ「氷」の楽しみ方が解らない。

だが、破綻することは少なくなった。


SL王者健在。

鈴木選手は貫禄のラップ(トップタイム)を叩き出す。


それに続くは森井選手。

0.8秒差から逆転を狙う。


夏目選手は攻めきれなかったか。

少々多めのビハインドを背負ってしまった。


谷口選手。

「きっかけ」を求めて攻めたのか。

その思いはコースサイドで途切れてしまう。


ちょいと書き方を変えてみようと試してみましたが、

短い文章で表現するのは、どうも苦手なようで(^^;

といっても、しっかり文字数を使って書いたところで、

だらだらで読みづらいものしか出来ないんですけども。シツレイシマシタ....


ということで、1本目の順位をおさらいです。

女子Sittingクラス

7位(多分^^;) 田中選手       ?秒差
9位        村岡選手     13.72秒差

男子Standingクラス

11位       東海選手       4.07秒差
13位       三澤選手       4.43秒差
18位(多分^^;) 小池選手        ?秒差
24位       山崎選手      12.75秒差

Sittingクラス

1位        鈴木選手      0.00秒差
4位        森井選手      0.80秒差
12位       夏目選手      5.10秒差
DF        谷口選手

以上の結果でした♪


そして、実に荒れに荒れたレースだったということもお伝えしましょう。

1本目にスタートした選手は男女合計で99名。

1本目ですでに28名の選手がいなくなってしまいました!

完走率71.7%!

10人中約3人がアウトという計算です。


男子Sittingだけで見れば、24名中9名の62.5%!

いくらなんでも激しすぎる(^^;

各国を代表する選手たちを持ってしてもこの状況ですから、

「氷」がどんなに難しい雪面かお解り頂けたかと....


さて、気を取り直して2本目ですよ♪

お日様は偉大ですねぇ(^^

気温が上がり始めてきました。


スタート地点で-3.3℃、フィニッシュ地点では-2.8℃。

こんな高地でもここまで気温が上がると....

雪面もHardの文字が取れて「Packed」になってしまいました。


少し緩んだ雪面になったのでしょうか。

そんな極端には変わらないでしょうが、

少しなりとも「優しい」コースになったかな?


コースセッターはカナダチームのコーチ。

ゲート数46、ターン数45、対標高差が30.6%。


2ゲート1ターンの「ディレードゲート」がひとつ減ったので、

実質的に1本目より3ターン多いことになりました。

このあたりも、雪面状況が変わったことを示していますね。


さあ、2本目への準備万端!

ジャパンチームのスタート順です!


女子Sittingクラス

村岡選手 3番目
田中選手 5番目

男子Standingクラス

 3番目 三澤選手
 5番目 東海選手
24番目 山崎選手

男子Sittingクラス

 4番目 夏目選手
12番目 森井大輝選手
15番目 鈴木猛史選手  です。

やはり、小池選手はスタート地点に姿を見せませんでした。

深刻なトラブルでなければいいんですが....


男子Sittingクラスの1本目は15名以上の完走者がなかったので、

鈴木選手がこの日の大トリとなってしまいました(^^

さあ、最後の最後でどんなドラマを作ってくれるのか?

いよいよ始まります!


....「ソチ」までの短い期間で、

全ての種目で戦えるようにするなんてのは無理難題。

村岡選手は、いい意味で開き直っている。


そう思い直した時、どんな状況でも楽しんで滑れる事に気がついた。

楽しめば、得られるものも多い。

笑顔で滑り降りられたことに、まずは満足。


一方、田中選手には後がない。

求めれば求めるほど逃げて行く結果。

失意のリタイアとなった。


三澤選手は1本目の挽回を図り、猛烈にプッシュ。

大幅なランクアップを果たしたが、

2本の合計タイムで勝負するのがアルペンレース。

この難しさに唇を噛む。


東海選手は安定感を取り戻しつつある。

急激な復調は望めないと理解している分、焦りはない。

今はまだこれでいい。


Standingクラスは2本目もコースアウト続出。

その恩恵を受けた順位の山崎選手だったが、

自身の滑走タイムは自らの努力で大幅に向上している。

その歩みは例え小さくても、確実に前に進むだけだ。


夏目選手。

苦戦した。

思った以上に体が動いていない事に気がつく。

フィニッシュエリアでは大きなため息をついた。


勝負の行方は、4名が握っている。


0.8秒のビハインドでスタートする森井選手から。

オールラウンダーでもある彼には、鈴木選手ほどではないが、

SLでも常に勝負を賭けられる位置にいる。

まずは順当にトップに躍り出た。


しかし、LE MEUR Jean Yves選手(FRA)が魅せた。

森井選手からは0.13秒というわずかなマージンしか持ち合わせていなかったが、

2本目は落下スピードを上げていくことに成功した。

彼がトップに立った時のタイム差は、1.91秒にまで広がっていた。


BONADIMANN Philipp選手(AUT)が、森井選手の上へ滑り込む。

コンマ1秒以下の戦いを制し続けてきた森井選手だったが、

この日は0.09秒差で沈んでしまった。


かなり厳しい戦いになる。

スタートバーを前にした鈴木選手は、表情を厳しくした。

42秒32というLE MEUR選手のタイムを耳にしたからだ。


マージンは0.67秒。

42秒台はまだ誰も到達していない。


インスペクションでは43秒の前半が勝敗の分かれ目と読んだ。

しかし、事態は大きく動いた。

43秒フラット。

その壁を越えられるか?


アウトリガー(両手に備える補助具)がポールを叩く軽快な音。

彼独特の「逆手」というテクニックから紡ぎ出されるリズム。

その姿を見る全てのオーディエンスは、彼の逆転劇を期待していた。


LE MEUR選手も鈴木選手も、同じ「係数」のLW12-2の障害を持つ。

つまり、ややこしい計算は必要なく、「現実」のスピードが勝敗を分けるのだ。


速い。

旗門員が呟く。


LE MEUR選手のアグレッシブさとは対照的な滑らかすぎるシルエット。

その姿は、レーススタッフですら「観客」にしてしまう。


連続するオーブンゲートからストレート。

一瞬の乱れもない。

ヘアピン~オープン~ディレードといった不規則な区間でさえ、

予定調和であるかのように通過する。


緩斜面。

スピードは落ちない。


その先の急斜面。

次のゲートは見えない。

しかし、スキーの射角は押さえてある。


斜面変化前のオープンゲート。

ポールが倒れる。

その時の光景もインスペクションと同じ。


目の前に広がる急斜面。

1mmのズレもなく次のゲートが現れる。


決まった。

体はすでにその次のゲートに備えている。


一瞬の無重力感。

スキーの先端が接地する。

ゲート際のレコードライン。

深く刻まれた溝。

取られるエッジ。


ほんの数mm。

自由を奪われたトップエッジは、

鈴木選手のコントロールに逆らい、一瞬だけ板を波打たせた。


30cm程度か。

急斜面で滑走ラインを外した。

次のゲートに入れない。

とっさに大きく板をグラインドさせた。

リカバリーに2ターン。

失ったタイムは大きかった....


いやはや、まさかこんな結末が鈴木選手に襲いかかるとは(^^

これはもう、「ミス」ではなく「事故」といってもいいかも?


そこまで鈴木選手を追い込んだLE MEUR選手に「天晴れ!」ですね。

もちろん、鈴木選手の2位も素晴らしい結果でした!


では、最終結果を整理します(^^

女子Sittingクラス

7位 村岡選手
 DF 田中選手

男子Standingクラス

 7位 三澤選手
 9位 東海選手
17位 山崎選手
 DS 小池選手

男子Sittingクラス

 2位 鈴木選手
 4位 森井選手
11位 夏目選手
 DF 谷口選手  以上です!


長く激しい戦いの途上で、そろそろ疲れが溜まってきている頃でしょうか。

リザルトからも、やや精彩を欠き始めた選手もいるように見えます。


男女あわせた2本通した完走率も58.2%!

難しいコースだったとはいえ、

各選手たちの疲れもこのあたりに現れているのではないかと(^^;


さあ、あと2レース。

そして、帰国直後のジャパンパラ大会。

どうか、ジャパンチームのみんなには息災に過ごして欲しいものです(^^


話のついでと言ったら怒られるでしょうが、

そのジャパンパラ大会について告知をしておきます!


IPC公認 2014 ジャパンパラアルペンスキー競技大会

日程:平成26 年1 月25 日(土)~28 日(火)

場所:長野県北安曇郡白馬村白馬八方尾根スキー場
    (開会式:八方文化会館

実施種目(予定): 大回転     (25日)
            回転      (26日)
           スーパーG   (27日)
           スーパーコンビ(28日)


今週末の土曜日からの開催です。

「お、その時には八方にいるよ!」という方は是非、

「世界」を席巻するジャパンチームの滑りをご覧になってください。

当然ですが、入場料は無料です♪


まだ週末のゲレンデを決めておられない方は、何が何でも八方へ(^^

しつこいですが、入場料は無料です♪


そして、もう予定が決まっちゃってる!とか、スキーは行かないなぁ....という方は、

速報ページで熱戦の行方をチェックしていただければ♪

速報ページも無料です(^^


また、「Ustream」でも、レースの模様が配信されるとかなんとか。

こちらもお楽しみに!


ん?Ustream?

....てことは、やっぱりアレか。

「見てきたように」書けないって事じゃん(^^;ドウシタモノカ....


では、次回もSL。2戦目の模様をお送りします♪

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