一緒に耐えよう、立ち直ろう!東北! がんばろう!日本!

2014年3月13日木曜日

ちょい勝手を変えて:20140308SochiDHMen....

ソチパラリンピック、盛り上がってますね(^^

スカパー!さんのお陰で、世界のレベルの高さ、

そして、ジャパンチームの活躍が手に取るようにわかります。

本当に嬉しく思います♪


とは言いながら、

これまでのように「見てきたような観戦記」を書けないのは少し寂しい(^^;


どうしたものかと頭を悩ませてきたのですが、

ソチパラリンピックについては趣向を変えまして、

違う「切り口」で書き綴ってみたいと思います♪


名付けて、「山本新之介のソチパラリンピックアルペンをまるでわかったような技術解説」

スカパー!の中継を見ながら、技術的なこととかポイントなどを、

「わかったような」口ぶりで書いていこうかなと(^^


σ(^^が健常者だった頃のスキーは「修学旅行レベル」でしたし、

足を潰してからはチェアスキーのみですので、

Standing(立位)クラスについてはさっぱりわかりません(^^;

てことで、Sitting(チェアスキー)クラスが中心になってしまうこともご理解ください。


「見た来たような観戦記」と同様、

σ(^^の極めて主観的でおおざっぱな分析に基づいて書いていきますので、

選手たちには「何テケトーな事言ってんだ?こら!」と怒られるかも知れません(^^;

これもひとつの「読み物」とご承知頂ければ幸い。


では、ひとつずつ始めますか!

まずはソチパラリンピックDay1、DownHill(滑降:DH)レースから(^^

もし、レースを録画されていれば、

またはスカパー!オンデマンドをご覧になれる環境があるなら、

それ以外でも、YouTubeでも見られますので、

映像とあわせてお楽しみください♪


まずはジャパンSittingチーム全般に言えることをひとつ。

森井大輝選手、狩野亮選手、鈴木猛史選手、夏目堅司選手のチェアスキー。


あれだけ雪面が荒れていたにもかかわらず、上体はほとんど動いていないでしょ?

雪面からの衝撃を、サスペンションがしっかりと受け止めているからです。

彼らは、今期からオーリンズ製のダンパーを使用しております。


これまでのダンパーであれば、

どうにもならないぐらいに激しい衝撃を受け続けていました。

昨期まで悩み続けていた雪面コンタクトの問題も、

オーリンズダンパーによって解消されている訳です。


「でも、海外勢だってオーリンズ使ってるよ?」


そうですね(^^;

トリノモデル+オーリンズという組み合わせの選手もいます。

でも、おそらくは「中身」が大きく異なるはずです。


海外勢のオーリンズダンパーは、

チェアスキーに取り付けられる寸法のものを、「そのまま」付けただけだと思うのです。

でなければ、ジャパンチームのダンパーの出来の良さが説明出来ません(^^
                   (見た目、車高をわざわざ高くしているのも、トリノモデルをわかっていない証拠ですし♪)


それでも、トリノモデルOEMのダンパーと比べると、

その性能は「雲泥の差」だと思いますが、

ジャパンSittingチームのものは、

各選手の乗り方を踏まえ、

このローザクトールアルペンセンターのコースに合わせて、

徹底的に、最適なセッティングを施した内部仕様に変更されています。


バイク用のダンパーを「そのまま」付けるのと、

世界最強最速の選手たちが「最適」にアジャストしたダンパーを使用するのとでは、

明らかに性能に違いが出ます。


その証拠が、雪面ギャップを拾った時のリアクションという訳です。

上体が動かないということは、重心に悪い影響が出ないということ。

最も「いい位置」に重心を置き続けることが出来れば、

落下運動であるスキーに悪い影響が出るはずがない。


故に、速いターンが可能で、海外製に比べて優位にレースを組み立てられているという訳です。


もっともいい例が狩野選手。

彼独特の「乗り方」は、マスコミでもたくさん紹介されていますのでご承知の方は多いでしょう。

スキーのセンター部分からテール部分(後ろ半分)、

その部分だけで滑っているから速いんだという解説がされています。


確かに、それも正解のひとつであると思うのですが、

実は、それだけではない理由があると考えています。


ターン前半の、スキーの向きを変えていく局面に注目してください。

狩野選手の滑走16.6秒のところで一時停止してご覧頂くとよくわかります。

切り返しからゲートら向かおうとする瞬間です。


この時、既に狩野選手は「板の後ろ部分」に乗り始めています。

板全体をしならせてターンするのがスキーの常道なのですが、

彼は後ろ部分だけをしならせて回っていきます。


板全体を使った場合以上の荷重が板にかかってきますので、

普通であればあり得ないほど板がしなります。

そのしなりを利用してターンしていく訳ですが、

彼のターンテクニックは板をしならせて「サイドカーブ」の円弧を利用しているだけではなく、

板が湾曲している頂点、その「丸み」を利用して、

まるで「球体が方向を変えるような」スムーズさでターンの方向を変えていることがわかります。


この滑り方は、板全体をスライドさせるよりも小さな力で、

かつ素早く方向を変えることが出来るため、

誰よりも速く「加速」状態に入る事が出来るのです。


また、スキーエッジに頼っただけのターンではありませんので、

ターン中の「減速要素」も少なく、ハイスピードのターンが可能ということもあります。

誰よりも速いスピードでターンに入り、誰よりも速く加速を始められる。

狩野選手が最速だったということもうなずけますね(^^


でも、この滑り方はかなりリスキーです。

切り返し直後、ハイスピードのターンインの時、

ほんの少しでも雪面ギャップからの「突き上げ」を食らったらどうなると思います?

「あっち」の方向へ飛んでいってしまいますよね?


その衝撃をきちんと吸収してくれるサスペンションがあるからこそ、

あれだけの成績が出せるという訳です。

狩野選手が組み上げてきた滑りが完璧に機能した時、

誰の手も届かない領域に、彼は飛び込んでいくのです。


「勝ちに不思議な勝ちあり」とは言いますが、

彼が勝つことは「不思議」でも何でもないということがわかりました♪


鈴木猛史選手の銅メダルも同じ事が言えます。

彼の最大の武器は「完璧なスキーコントロール」です。

幼少の頃から馴染んできたチェアスキーは、すでに彼の体の一部。

まるでお箸で豆腐を摘み上げるような繊細さで、チェアスキーを操っています。
                                                       ホカニテキカクナヒョウゲンハナイノカ?....(^^;

少々荒れている雪面程度では、彼のコントロールが破綻することはなく、

それがどれほど困難な雪面状況になっていたとしても、

彼のスピードを減速させる要素はありません。


そんなマシンコントロールの出来る彼が、

「最高」のサスペンションを手に入れたらどういう事になるか?

簡単に想像出来ると思うのです。


では、なぜ鈴木選手は銅メダルに終わったのか?


既にフィニッシュしていたDUECK Josh選手(CAN)との比較、

IT1(第1中間計時)では、0.08秒遅れていましたが、

IT2(第2中間計時)では、0.05秒速く駆け抜けました。


ところが、IT2~フィニッシュの区間。

この区間タイムは、鈴木選手は全体の9番タイムにまで落ち込んでしまうのです。

銀メダルのDUECK選手とは、この区間で0.61秒の差が、

最終タイムでは0.56秒という差が生まれてしまったのです。


そのポイントは....鈴木選手のラン、滑走タイムのの48秒頃。

このジャンプのあと、鈴木選手はスピードを徐々に失っていった気がするんです。(^^;


この後は緩斜面が続きます。

体重の軽い鈴木選手はただ滑っているだけでも「減速要素」が強くなります。

例え、直滑降をしているだけでも、体重が軽いとスピードは伸びません。


IT2での、DUECK選手のスピードは115.6km/h。

同じ地点で鈴木選手は112.8km/h。

この3km/hの差はでかいですよ(^^;


ちなみに、IT2~フィニッシュ間で最速だったのは、TABERLET Yohann選手(FRA)。

見るからに「高速系向き」の体格をなさっておられます(^^;


一方、Sittingチームで明暗を分けられたのは森井選手、夏目選手でした。


森井選手の転倒はショッキングなニースとして映像にも流れました。

本当に悔しかっただろうなと思います。


スタート直後、偏斜面から左ターンで急斜面に入っていくシーン。

そのゲート際でエッジクリップを失ったような印象が映像で流れましたが、

あの転倒はあくまでも結果。


「原因」はその前のところにあると思っています。

スタートして右ターンで緩斜面から急斜面を斜めに横切るように滑っていきました。

次の左ターン(グリップを失ったターン)への切り返しの時、わずかに雪面ギャップを拾います。
                                      (転倒するわずか3秒前です)

縮んだばねが反発し、一瞬だけスキーを雪面から引きはがしてしまう。

ラインから外れたのは、ほんの1mぐらいでしょうか、

思い描いていたイメージから、ターン外側にラインを外すことになってしまい、

急斜面を落ちていく落下Gに耐えながら、彼はラインの修正を試みました。


が、ラフな操作を許さない高速系の板は、

ライダーの意に反してコース外へスライドをしてしまう。

それでも森井選手は立て直そうとしましたが、万事休す。


かなり無理なリカバリーを行ったせいで、予期しない転倒に繋がることになった、

というのがσ(^^の見立てです。


きっかけは、転倒場所のはるか手前、

「たまたま」踏んでしまった雪面ギャップの反動から始まってしまったと。

この見立て、たぶん合っていると思うんだけど、

帰国後、事情聴取をしてみたいものです(^^


森井選手にしても、彼ほどの実力がありながら避けられない状況というものはあるんですねぇ。

この明暗は「運」という言葉以外に表現する言葉を知りません(^^;


さて、いろいろと書きましたが、映像とリザルトから分析してみると、

そんなレースだったんだとあらためて感じました。


いずれにしても、

狩野選手、鈴木選手、おめでとうございました!

いきなりの金メダルを含めて、まずはメダルふたつ!幸先いいぞ!(^^


次回はSuper-G(スーパー大回転:SG)の分析などしてみます♪

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