(お詫び:前回の予告でお知らせした「本命爆発」は、
ご案内の順番を間違えて書いておりました。謹んでお詫びいたします)
宴、終わっちゃいましたなぁ....
「ソチロス」なんて言葉が適当かどうかわかりませんが、
入れ込んでいた分、喪失感も大きいかも知れません。
でも、大丈夫!
「山本新之介のソチパラリンピックをまるでわかったような技術解説」
は、まだまだ続きます!
今少しの余韻を、どうぞお楽しみください(^^
....なんて、偉そうなことを書きましたが、ただただ筆が遅いだけなんですよね。
それに、σ(^^;ごときの技術解説など、どうか真にお受けにならぬようお願いします。
さて、朝から雨とガスがソチローザクートルアルペンセンターを襲ったこの日、
「なんで一足先に春が来る場所でオリパラを開催するんだろう???」と、
どんな招致活動がなされたのかと勘ぐりたくなりました(^^;
ソチパラリンピックDay4。
ジャパンSittingチームの表彰台独占、
その期待が大いになされたSuperCombi(スーパー複合:SC)レースが開催予定でした。
しかし、そうそう穏やかなレースは約束されませんでした(^^;
スタートはDelay。
あげくに、1本目のSuper-G(スーパー大回転:SG)は14日へ延期され、
本来なら2本目であるSlalom(回転:SL)のみをこの日に行い、
それを1本目の成績にするという変則的な開催となりました。
それに影響されて他の日程まで変更になったりと、
自然相手の戦いには予定なんてあったものではないなとつくづく感じた1日の始まりでした。
さて、変則的なSCレースとなった訳ですが、
選手たちの戦い方も大きく変わったはずです。
本来のSCの戦い方は、高速系種目を得意とする選手たちは、
1本目で「逃げ切る」タイムを叩き出そうとしますし、
SLが得意であれば、2本目で「捕まえる」タイムで逆転を狙います。
この順番が変わるということは、スタート前の心構えを変えなければならないと思うんです。
SGでひっくり返されないように、
圧倒的なランをしなければならないスラローマーたち。
歯を食いしばりながらSLをやり過ごし、
「スピードの向こう側」へ勝負の領域を持ち込みたいカッ飛び野郎たち。
立場を逆転させられたレーサーたち、
この1本目をどのように戦ったのか見ていきましょう!
YouTubeで配信されている映像は次のとおりです。
合わせてご覧下さい♪
ついでに、リザルトはこちらです。
....雨に翻弄される雪面。視界を遮るガス。
すでに女子の各クラス、男子VisuallyImpaired(視覚障害:VI)クラス、
そして男子Standing(立位)クラスが滑走を終えていた。
実に60名以上のレーサーたちが、ただでさえ軟弱な雪面を掻き回していた。
目の前に広がる、絶望的な戦場。
しかし、戦士たちは愛機を駆り、果敢に離陸していく。
DidNotFinished(途中棄権:DNF)、Disqualified(旗門不通過:DSQ)。
次々とたたき落とされる戦闘機たち。
その悲壮感は時間を追うごとに高まっていく。
Sitting(チェアスキー)クラス8番スタートの森井大輝選手まで、
「仕事」を終え帰還出来たのは2名に過ぎない。
表彰台独占。
その「夢」ために、チーム1番機の自分が消える訳にはいかない。
荒天の中のフライト。
戦闘服に染み込んだ雨が体を冷やしていく。
それでも、エースパイロットは悲壮感を闘志に変えていった。
それまでに培った全ての技術を吐き出し、
1ターンごとに変わるコース状況に対応する。
ギャップ、バンク、ウェーブ。
そして、視界を遮る厚いガス。
ありとあらゆる局面でも、基本とする要素は変わらない。
「重力に逆らわない」
複雑な雪面状況に対して、持ち合わせている「引き出し」の全てを開けた。
IT(中間計時)では、圧倒的なタイムを叩き出す。
リーダーズボードに君臨するNOLTE Thomas選手(GER)を、
その時点で1.54秒も突き放す。
しかし、視界が晴れ、フィニッシュエリアが目に飛び込んできた最終局面。
深く深く抉られたギャップにはまってしまい、危うく「撃墜」されかかる。
この日の運命を司っていた神に、
チェックメイトまで追い詰められることはなかったが、失ったタイムは大きかった。
リーダーズボード。そのタイムを確認し、森井選手は大きく首を振る。
続くRABL Roman選手(AUT)、さらにリーダーズボードを書き換える。
悪夢は、その後のほぼ全ての選手に対して平等に襲いかかった。
「Kano,OUT!」
ざわめきが一層大きくなった雰囲気の中、
チームキャプテンの森井大輝選手は唇を噛む。
奇しくも自らも落とされたギャップの餌食になった瞬間を目撃してしまったのだ。
上げたはずの「情報」。
間に合わなかったのか。
ITまではRABL選手を上回るタイムを刻んでいただけに、その落胆は大きい。
狩野選手は、コース外に呆然と佇んだ。
鈴木選手は、悠然とスタートを切った。
称号で戦う訳ではないのは百も承知だが、
「絶対王者」がどのように立ち振る舞うのか、
会場の全ての興味はその一点に注がれていた。
勝負どころは第10ゲート以降。
刻々と重ねられる「情報」を元に、彼はそう決めていた。
それまでは、自身が持つ抜群のボディバランスを武器に、
荒れ狂う急斜面をやり過ごす算段だった。
だが、すでに鈴木選手の思惑を越えたところ、言うなれば、
鈴木選手に加護を与えてきた女神と、選手たちに苦難を与えている邪神との戦いへと、
レースの様相は、人間の無力さを恨めしく思う局面にまで変化していた。
最速ラインへ導く女神。
それを妨げようとする邪神。
「攻め」へとリズムを変えていこうとする矢先の第8ゲート。
邪神の指先が彼のスキートップを数cmだけ狂わせてしまう。
女神は力尽きた。
ポールに乗り上げ、「不通過」となってしまった彼は、
そのままコース外でレースを終える。
スタートゲートに嫌われた夏目堅司選手。
第1ゲートからリズムを取ることが出来なかった。
次々と襲いかかるゲートに打ちのめされていく。
しかし、ギリギリのところで愛機をコントロールし、
戦場の藻屑となることは回避していた。
無事に帰ってこい。
森井選手は拳を握りしめていることに気がつく。
フィニッシュエリアという「母艦」の暖かさを、
夏目選手はしみじみと噛みしめた。
散っていった戦士たちの合間を縫うように、谷口彰選手が生還した。
そのタイムはかろうじて夏目選手の上。
しかし、全ての得手が封印されたランを終えた彼の表情に明るさはない。
戦いが終わり、嵐のような邪神が去ったその跡。
生還した戦士たちは眺め、いくつものため息をついたのだった....
レースの映像を見ていて、これでもか!というぐらいにDNFが続きました(^^;
「ルール上」はアルペンレースなんでしょうけども、
何か「別のスポーツ」に見えたのはσ(^^;だけでしょうか?
今回は、そのあまりにも悲壮感漂うレース結果だっただけに、
思わず「見てきたように」書いてしまいました。
この状況で「技術解説」など書こうものなら、
とんでもないボリュームになりそうでしたし....(^^;
リザルトから読み取ってみると、完走率38.5%!
2本目に「勝負を仕掛けられる」タイムで降りてこられた選手はわずか5名!!
その割合、実に19.2%!!!(^^;
ジャパンSittingチームの栄冠を掛けた戦いは、
森井選手ひとりが背負うことになりました。
2本目のSGは3日後、14日の開催です。
その模様は、また後日♪
次回、次回こそは「本命爆発」(^^;
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