いつもの連載に入る前に....
台風6号が猛威をふるっています。
避難勧告が出ている地域もあります。
暴風雨が来ている地域にお住まいの方は、
正しい情報を元に、慎重に行動をしてくださいね。
また、風雨が収まっても、
河川の増水や土砂災害の危険はしばらく残ります。
どうか、お気をつけて頂きますよう....
では、連載再開です。
....非常時はアドレナリンのせいで弱い痛覚は感じない。
体の機能を奪われたような酷い痛みもない。
暗闇。
何ひとつ、視認できるものはない。
おそらく、ありとあらゆるものが位置を見失っているのだろう。
転がっているダンベル。
ここになかったものだという事だけはわかる。
非常用に備えていたマグライト。
まず、こいつに出会えたことが僥倖。
昨日、電池の確認をしたところ。
浮かび上がる惨状。
外からは大きな声が聞こえてくる。
助けを求める声だ。
妻への呼びかけに短い返事が返ってきた。
どこからか首輪の鈴の音も聞こえた。
体中から力が抜けそうだ。
義足を掘り出す。
履くことには手間取らなかった。
何年も付きあってきた相棒だ。
これでようやく身動きがとれる。
マグライトは、少しずつ現状を知らせてくれた。
家の倒壊はないようだ。
はっきりと聞こえる外部の音が、
どこかガラスが割れていることを示していた。
マグライトが妻の顔も浮かび上がる。
ちょっと腰を抜かしたようだが、
光を見て安心した表情から無傷だと感じられた。
無事を喜び合う。
落下物が極力少なくなるよう取り組んだ成果だ。
電気はまだ復旧していない。
それを待つわけにもいかない。
玄関で靴を履く。
家の中とはいえ裸足では危ない。
ブレーカーを落とす。
大地震の後のセオリー。
ヴィヴィオにはミニマグライトもある。
妻に手渡し、家の中を手分けして確認した。
にゃあの保護は手間取らなかった。
「避難準備OK!」と言わんばかりに、
自らケージに入っている。
妻とにゃあの再会は、
夫婦の無事を確認しあった時よりも情熱的であった。
被害の確認作業を急いだのは、
その再会に嫉妬したわけではない。
絶対に。
当然、水は出ない。
案の定、トイレは流せない。
我が家には、都市ガスは来ていない。
巨大なプロパンガスのボンベは、土俵際で残っている。
ガス漏れもなさそうである。
ボンベのコックは、とりあえず閉じた。
我が家の損害は少ない。
家族は無傷。
こんなにうれしいことはない。
普段から気にとめていた事は、間違いではなかった。
しかし、このあとの72時間は、まさに地獄となるのだ....
と、まずは家にいる時を想定して、
「その時」直後を書いてみました。
こんなに少ない被害で終わるとは思えないのですが(^^;
次回はこのパラレルワールド。
「通勤途中はどうなの?」
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