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2012年12月21日金曜日

計算タイムのおさらいとレースポイント....


昨日は計算タイムについて書いてみました。


世界一厳格な審判である「計測タイム」に、

世界一非情な「係数」という要素で修正されてしまうのが、

障害者アルペンの「計算タイム」です。


今回は、NORAM CUP4日目、SLALOMの1レース目

ジャパンチームのご紹介を兼ねて、計算タイムのおさらいをします。


まずは、リンク先のリザルトと、

ジャパンチームの成績をいつものようにご紹介♪


Men's Slalom1

Standing(立位)カテゴリー
5位 東海将彦選手
10位 伊藤史雄選手
11位 山崎福太郎選手

Sitting(チェアスキー)カテゴリー
10位 横澤高徳選手
DNF 谷口彰選手
DNF 夏目堅司選手

Women's Slalom1

Sittingカテゴリー
1位 田中佳子選手
DNF 青木辰子選手
Disqualified 村岡桃佳選手


田中佳子選手、優勝おめでとうございます!

この大荒れのレースをよく制しました(^^


何が大荒れかって?

Resultの前半部分に記載してある天候や気温を見て下さいよ。

晴天&気温が+4.5℃!

標高が3,500mを超えているというのに!(^^;
                 フモトハトコナツダッタロウネ!


圧雪されていたとしても、相当に雪が柔らかかったでしょう。

雪が柔らかいと、一人滑るたびに激しく掘れていきます。


田中選手は19番スタートだったようです。

18人も滑りゃ、コースはボッコボコになったことでしょう。

本当に、お疲れ&おめでとうございました(^^


現実には、Womenの後から滑るMenの選手たちはもっと大変。

横澤高徳選手は83番スタート....

きっと、モトクロスレースが出来るようなコース状況だったでしょうね♪

あ、でも横澤選手は元モトクロッサーだったな(^^


まあ、Women&Men、いずれも完走率は6割強。

サバイバルには違いありません(^^

みんな、お疲れ様でした!


さて、計算タイムのおさらいに移ります。

おさらいをするに面白そうなケースはといえば....

遡りますが、2日目GSの1レース目

山崎福太郎選手と伊藤史雄選手のResultが興味深いです。


計算タイムは、山崎選手2分18秒91伊藤選手2分20秒05ですが、

計算前の実測タイムは逆算すると山崎選手2分27秒17伊藤選手2分20秒76
山崎選手はLW9-2でGS係数0.9439伊藤選手はLW6/8-1でGS係数が0.9950

障害のクラスや係数は前回を参照して下さい(^^


実測では伊藤選手がぶっちぎりで速かったのに、

係数をかけてしまうとこんな結果になってしまうのです(^^;オソルベシ
 
こういった現象を、「ひっくり返される」といいます。


また、この計算は1本目の終了時点でも有効です。

1本目の計算タイム山崎選手1分9秒77で11位伊藤選手1分10秒96で13位

逆算した実測タイム山崎選手1分13秒92伊藤選手1分11秒322.6秒差


2本目の計算タイムで伊藤選手がこの順位をひっくり返そうと思ったら、

実測タイムでは山崎選手が同じようなタイムで下りてきたと仮定しても、

2本目は5秒以上速いタイムで下りてこなければならないということ。



2本目の計算タイム山崎選手1分9秒14で11位伊藤選手1分9秒09で10位

がんばったじゃん?なんて思っても、

逆算した実測タイム山崎選手1分13秒25伊藤選手1分09秒443.8秒差

ひっくり返すほどのタイム差ではなかったという事(^^;



こういった厳しい条件を確認した上で、

2本目の戦略を立てる必要があるのです。

おそるべし!係数!!ってとこですね(^^


でも最近は、計算タイムを直接表示するレースが増えているようですので、

現地では、こんな計算をする必要がないのかも知れませんが....


では、お待ちかね。レースポイントの説明をしていきます。


アルペンレースでは、

例えば、トップから0.5秒差の2位と、

同じく20秒差の2位とでは価値が違います。


いろんな速い選手がぼろぼろと転けて2位に入った選手と、

競り合って僅差で2位に甘んじた選手とは評価が違って当然です。


また、いろんな国で、いろんなレースが行われる中で、

その選手はどの程度のレベルなのか?

ということを、客観的に示すのもアルペンの醍醐味です。


順位ではなく、タイム差から叩き出された偏差値的な評価、それがレースポイント。

パラリンピックやワールドカップへの出場資格は、このポイントで決定されます。

ある意味、順位よりも重要な評価がされるわけです。


計算式の説明に入る前にもうひとつ、

種目ごとに設定されているF値というものをお知りおきください。


5種目ある全てに、種目ごとの難易度とでもいいますか、

計算式に組み入れる数値があります。

各レースのResultには「F-Value」と記載のある数値です。


各レースのF値は次のようになっています。
DownHill(ダウンヒル):       1330
SuperCombi(スーパーコンビ): 1130
Super-G(スーパーG):      1060
Giant Slalom(GS:大回転):    870
Slalom(SL:回転):          610


まず、用いる数値は、

自分の計算タイム

そのレースで最も速い計算タイム

そしてF値です。


さて、実際の計算はどうなるかというと....

計算式:1-(自分の計算タイム÷最速の計算タイム)×F値


優勝者から、どのぐらいの実力差で下りてこられたかが、

レースポイントとして表されております。


このNORA4日目のSLで見てみますと、

WOMENの優勝者、田中佳子選手58.83ポイント

2位のVICTOR Stephani選手61.26ポイントで、差は2.43

大変な僅差だった勝負だとわかります。


え?計算が合わない?

計算式だと、優勝者は0.00じゃないかって?


仰せの通り(^^;

実は、このレースポイントは、

3カテゴリー全てのタイムで計算されます。


つまりこのレースでの最速タイムは、

StandingSTARKER Alexandra選手0.00ポイントで、

そのタイム差から計算された田中選手のポイント58.83だったということがわかります。


ジャパンチームでは、100ポイント以内ということを目指していますので、

58.83ポイントというのはとてもいい成績です。ウラヤマシイ....


ここまでの説明で、かなりResultの読み方もマスターしていただいたのでは?
 

でももうひとつ、選手にとっての「落とし穴」があるんですよ(^^
 
その名は「レースペナルティ」
 
その恐ろしさの説明は次回♪

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