いきなりですが、このブログにお越し頂いているみな様方は、
普段の生活の中で「想像」ということをされていますか?(^^
毎日の生活に一生懸命なのは大変いい事だと思います。
でも、「想像」するという行為はいろんな意味で有意義な事だと思うんです。
ストレス解消法のひとつですし、
いろんなことを考えていると、それが将来の大きな糧になることだってあります。
「想像力を磨く」なんて大層な構え方をする必要もなくて、
一日のうち5分、いろんなことを「思い浮かべる」だけで、
ご自身にとってプラスになると思いますよ♪
σ(^^なんて、一日のうち睡眠時間を除いた大半は、
想像を超えた「妄想」に身を任せています....
そんな「妄想」の産物が、
「山本新之介のワールドカップをまるで見てきたような観戦記」です。
今日も、遠慮なく厚かましく始めます♪
障害者アルペンスキーワールドカップ、Mt.Huttスキー場の第2日目。
この日はSuper-G(スーパー大回転:SG)レースが行われました。
前日のSuperCombi(スーパー複合:SC)では、
残念ながら1本目で姿を消した我らが三澤拓選手でしたが、この日の結果はどうだったか?
リザルトをご覧になりながらお付き合いください。
この日も晴れ!晴れ!晴れ!
公式発表では「Sky Clear」なんて言葉が使われています。
問答無用の「日本晴れ」ということですな。ニホンデハナイデスガ....(^^;
気温は暖かくも寒くもなく、
スタート地点で0℃、フィニッシュ地点でも+1℃ととても過ごしやすい。
その割に雪質は「Hard」ですから、
アルペンレーサーにとっては、最高のコンディションでした。
もう、羨ましくってしょうがない♪
今回のSGも前日の1本目と同じコースを使用します。
標高差405mを一気に滑り降りる高速レース、選手だけでなく、観客も興奮ものです。
「早くスタートしろ!」と盛り上がる観客たちの前を、
選手たちはインスペクション(コース下見)を行っています。
「そんなにせかすない。
しっかりとコースを見極めて、最高のレースを見せてやっからよ!」
そんなことをつぶやく選手もいるかな?(^^
コース途中、ゲート脇に佇むのはロシアチームのコーチ。
このコースは、セッターである彼の賜物。
続々と降りてくるインスペクションの列の中、
ロシアチームの選手たちはコーチの元に一度立ち寄り、
二言三言会話を交わしていきます。
おそらくは、このセットの攻略法を聞いているんでしょう。
コース上には33本のゲートで30ターンが設定されています。
そのうち、いくつかのゲートに「トラップ」が仕込まれているはずです。
気持ちよく滑っていった先に、
曲がりきれなくなったり、
スピードダウンを強いられたりと、
コースセッターの「趣味」が「トラップ」となります。
その攻略法は、ロシアチームにしかはっきりとわかりません。
他国のタームは、そのトラップを「見抜き」、
カンニングでテストに臨むようなロシアチームを出し抜かなくてはなりません。
これは、コースセッターがレースごとに替わるアルペンレースならではの見所。
三澤選手が、少し時間をかけてひとつ処を見ています。そこが「トラップ」なのか?
三澤選手の頭の中には、最速のラインが描かれていることでしょう。
では、ここでスタート順を確認します。
女子選手は7カ国16名、男子は11カ国34名の選手がエントリー。
女子の後、男子がスタート、
VisuallyImpaired(視覚障害:VI)クラス、
Standing(立位)クラス、
Sitting (チェアスキー)クラスの順で進んでいきます。
三澤選手はビブ(ゼッケン)ナンバー29。
Standingクラスでは7番目のスタートとなっております。
たったひとりでの遠征というのは心細くないのかなぁ?
いつもの見知った海外選手たちがいるとはいえ、
気心の知れたチームメンバーがいないというのはつらいと思うんですけどね。
三澤選手、精神的にもかなりタフな人間なのでしょう。
そうこうしているうちにForeRunner(前走者)4名が滑り終わりました。
前走でも、コース上の危険は確認されませんでした。
いよいよ、今シーズン最初の「ぶっ飛び」高速レースが始まります!
いつものことですが、女子のスタートはたくさんの選手たちが見守ります。
スタートの光景を確認して、少しでもスタート前の情報が欲しいものです。
1旗門目のアプローチや雪面の状況、
スタートから見えるコースはインスペクションの記憶と重ります。
そして、女子選手のワンピース姿のシルエットラインが、
さらにモチベーションを高めていくのです(はーと)。オイ
男子のスタートが近づくにつれ、三澤選手の表情も変わっていきます。
下駄履き(インスペ用)からレース用のスキーに履き替え、
滑走面の状況やブーツの収まり具合をチェック。
イメージ通りの板に仕上がっていることが確認出来れば、
あとはスタートバーを押し込むだけ。
VIクラスの選手に影響がないように、
停止していた大会アナウンスが再開され喧騒が戻ってきました。
同時に、スタート前の心臓の鼓動も激しくなります。
三澤選手までDidNotFinish(途中棄権:DF)もなく、淡々とレースは進みます。
選手にとって、レースが止まらないことは大変ありがたいものです。
ストレスなく集中力を維持し続けた三澤選手のパフォーマンス、その結果は!?
男子Standingクラス
7位 三澤拓選手 1:03:47(Diff.+4.67)
優勝したのはBUGAEV Alexey選手(RUS)。
前日のSC、1本目では4位からの優勝。
今回も、チームコーチの思惑通りぶっちぎりの優勝でした(^^
思うように「はまった」勝者と、「はめられた」敗者がいるということでしょう。
三澤選手はどうだったかな?
ご本人のブログに詳しく、そしてとても悔しい思いが綴られていますのでご覧ください。
さて、LW2(片足スキー)クラスの選手が、
Standingクラスで戦うには不利な条件があると、
前日のSCレースの文中に書きました。
そのところを少し説明します。
スキーで一番スピードの乗る状態というのは、
斜面に対してスキーを傾けず、斜面方向へまっすぐ滑り降りている時です。
この状態は「直滑降」ともいいますね。
まず、この状態の滑走面を考えます。
それぞれ、片足と両足ふたりのスキーヤーがいたとします。
その体重は同じと仮定します。
この時、滑走面に体重が乗っかっているわけですが、
片足のスキーには、両足の倍の荷重がかかります。
荷重が倍といいうことは、摩擦力も倍に....
滑走面の摩擦抵抗が増えれば、スピードなんて乗るわけがありません。
さらに、雪面の凸凹から受ける抵抗も片足スキーには大きくなりますので、
スキーがまっすぐ滑る妨げにもなります。
これは直滑降だけの話。
次にターンそのものについて。
ターン中も同じように、片足スキーには1本のスキーに全体重がかかります。
同じ体重のスキーヤーが同じスピード、同じターン弧でターンする場合、
片足スキーヤーの方がスキー板に無理をさせることになります。
直滑降と同じように、スキー1本あたりの荷重が倍になれば、
ターン中の雪面への荷重も倍になります。
同じ状態の雪面に、倍の力を加えたらどうなるか?
スキーエッジより柔らかい雪面は、その力に負けて崩れてやすくなります。
しっかりと遠心力を受け止められない雪面は、
スキーのエッジに耐えられなくなり、
スキーヤーは思ったラインを通れずに、
ターンの外側へと膨らんでいくのです。
直滑降ではスピードを乗せることが出来ず、
ターン弧も理想通りにラインを描けない。
単純に考えて、LW2の片足スキーヤーは、
両足スキーヤーに比べてとんでもないハンデを、
「宿命的」に背負っているということになるのです。
もちろん、「係数」と呼ばれるハンディキャップシステムはあります。
それぞれ異なる身体条件でレースをするわけですから、
用意ドンのタイム勝負だけでは不公平きわまりない。
条件として不利な選手には、
「係数」をかけて滑走タイムを修正することになっています。
例えば、LW2の三澤選手がSGを走る際には、
「0.9243」という係数が実測タイムに掛かります。
Mt.Huttで優勝したBUGAEV Alexey選手はLW6/8-2、係数は「1.000」です。
計算タイム = 実測タイム × 係数
実測で60秒だと、BUGAEV Alexey選手はそのまま「60秒」が結果になりますが、
三澤選手の場合、「55.45秒」が正式な結果となります。
「そんなハンデをもらっているなら文句は言えねーじゃん?」
おっしゃるとおり(^^;
でも、摩擦力が倍になる宿命のLW2クラスに、
ハンデがたった7.57%だけでいいのかな?とは思うんです。
仮に、BUGAEV Alexey選手に、
ワックスをろくに入れない、滑走面の摩擦係数を倍にしたような、
そんなスキーを履かせてレースさせて、
係数を同じにしても、おそらくは三澤選手が圧勝するでしょう。
そのぐらいに厳しい状況のレースを、三澤選手は戦っているのです。
そして間違いなく、彼は勝とうとしていますし、勝てる手応えを掴んでいるはず。
「ルールだからしょうがない」っちゃあ「しょうがない」のですが、
そんなレースをどのように戦っているのか、
三澤選手のこれからも注目したいと思います。
これからワールドカップの舞台はオーストラリア大陸へ移りますが、
三澤選手のエントリーはここまで。
「本番」は1月、カナダはPanoramaスキー場から!
秋のチーム合宿を経て、
三澤選手始め、ジャパンチームがどのような戦いを繰り広げるのか、
今から楽しみでしょうがない(^^
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