一緒に耐えよう、立ち直ろう!東北! がんばろう!日本!

2013年9月7日土曜日

ルールだからしょうがない....

いきなりですが、このブログにお越し頂いているみな様方は、

普段の生活の中で「想像」ということをされていますか?(^^


毎日の生活に一生懸命なのは大変いい事だと思います。

でも、「想像」するという行為はいろんな意味で有意義な事だと思うんです。

ストレス解消法のひとつですし、

いろんなことを考えていると、それが将来の大きな糧になることだってあります。


「想像力を磨く」なんて大層な構え方をする必要もなくて、

一日のうち5分、いろんなことを「思い浮かべる」だけで、

ご自身にとってプラスになると思いますよ♪


σ(^^なんて、一日のうち睡眠時間を除いた大半は、

想像を超えた「妄想」に身を任せています....


そんな「妄想」の産物が、

「山本新之介のワールドカップをまるで見てきたような観戦記」です。

今日も、遠慮なく厚かましく始めます♪


障害者アルペンスキーワールドカップMt.Huttスキー場の第2日目。

この日はSuper-G(スーパー大回転:SG)レースが行われました。


前日のSuperCombi(スーパー複合:SC)では、

残念ながら1本目で姿を消した我らが三澤拓選手でしたが、この日の結果はどうだったか?

リザルトをご覧になりながらお付き合いください。


この日も晴れ!晴れ!晴れ!

公式発表では「Sky Clear」なんて言葉が使われています。

問答無用の「日本晴れ」ということですな。ニホンデハナイデスガ....(^^;


気温は暖かくも寒くもなく、

スタート地点で0℃、フィニッシュ地点でも+1℃ととても過ごしやすい。


その割に雪質は「Hard」ですから、

アルペンレーサーにとっては、最高のコンディションでした。

もう、羨ましくってしょうがない♪


今回のSGも前日の1本目と同じコースを使用します。

標高差405mを一気に滑り降りる高速レース、選手だけでなく、観客も興奮ものです。


「早くスタートしろ!」と盛り上がる観客たちの前を、

選手たちはインスペクション(コース下見)を行っています。


「そんなにせかすない。
 しっかりとコースを見極めて、最高のレースを見せてやっからよ!」

そんなことをつぶやく選手もいるかな?(^^


コース途中、ゲート脇に佇むのはロシアチームのコーチ

このコースは、セッターである彼の賜物。


続々と降りてくるインスペクションの列の中、

ロシアチームの選手たちはコーチの元に一度立ち寄り、

二言三言会話を交わしていきます。

おそらくは、このセットの攻略法を聞いているんでしょう。


コース上には33本のゲートで30ターンが設定されています。

そのうち、いくつかのゲートに「トラップ」が仕込まれているはずです。


気持ちよく滑っていった先に、

曲がりきれなくなったり、

スピードダウンを強いられたりと、

コースセッターの「趣味」が「トラップ」となります。


その攻略法は、ロシアチームにしかはっきりとわかりません。

他国のタームは、そのトラップを「見抜き」、

カンニングでテストに臨むようなロシアチームを出し抜かなくてはなりません。

これは、コースセッターがレースごとに替わるアルペンレースならではの見所。


三澤選手が、少し時間をかけてひとつ処を見ています。そこが「トラップ」なのか?

三澤選手の頭の中には、最速のラインが描かれていることでしょう。


では、ここでスタート順を確認します。

女子選手は7カ国16名、男子は11カ国34名の選手がエントリー。


女子の後、男子がスタート、

VisuallyImpaired(視覚障害:VI)クラス、

Standing(立位)クラス、

Sitting (チェアスキー)クラスの順で進んでいきます。


三澤選手はビブ(ゼッケン)ナンバー29。

Standingクラスでは7番目のスタートとなっております。


たったひとりでの遠征というのは心細くないのかなぁ?

いつもの見知った海外選手たちがいるとはいえ、

気心の知れたチームメンバーがいないというのはつらいと思うんですけどね。

三澤選手、精神的にもかなりタフな人間なのでしょう。


そうこうしているうちにForeRunner(前走者)4名が滑り終わりました。

前走でも、コース上の危険は確認されませんでした。

いよいよ、今シーズン最初の「ぶっ飛び」高速レースが始まります!


いつものことですが、女子のスタートはたくさんの選手たちが見守ります。

スタートの光景を確認して、少しでもスタート前の情報が欲しいものです。


1旗門目のアプローチや雪面の状況、

スタートから見えるコースはインスペクションの記憶と重ります。


そして、女子選手のワンピース姿のシルエットラインが、

さらにモチベーションを高めていくのです(はーと)。オイ


男子のスタートが近づくにつれ、三澤選手の表情も変わっていきます。

下駄履き(インスペ用)からレース用のスキーに履き替え、

滑走面の状況やブーツの収まり具合をチェック。


イメージ通りの板に仕上がっていることが確認出来れば、

あとはスタートバーを押し込むだけ。


VIクラスの選手に影響がないように、

停止していた大会アナウンスが再開され喧騒が戻ってきました。

同時に、スタート前の心臓の鼓動も激しくなります。


三澤選手までDidNotFinish(途中棄権:DF)もなく、淡々とレースは進みます。

選手にとって、レースが止まらないことは大変ありがたいものです。

ストレスなく集中力を維持し続けた三澤選手のパフォーマンス、その結果は!?


男子Standingクラス

7位 三澤拓選手 1:03:47(Diff.+4.67)


優勝したのはBUGAEV Alexey選手(RUS)。

前日のSC、1本目では4位からの優勝。

今回も、チームコーチの思惑通りぶっちぎりの優勝でした(^^


思うように「はまった」勝者と、「はめられた」敗者がいるということでしょう。


三澤選手はどうだったかな?

ご本人のブログに詳しく、そしてとても悔しい思いが綴られていますのでご覧ください。


さて、LW2(片足スキー)クラスの選手が、

Standingクラスで戦うには不利な条件があると、

前日のSCレースの文中に書きました。

そのところを少し説明します。


スキーで一番スピードの乗る状態というのは、

斜面に対してスキーを傾けず、斜面方向へまっすぐ滑り降りている時です。

この状態は「直滑降」ともいいますね。


まず、この状態の滑走面を考えます。

それぞれ、片足と両足ふたりのスキーヤーがいたとします。

その体重は同じと仮定します。


この時、滑走面に体重が乗っかっているわけですが、

片足のスキーには、両足の倍の荷重がかかります。

荷重が倍といいうことは、摩擦力も倍に....


滑走面の摩擦抵抗が増えれば、スピードなんて乗るわけがありません。

さらに、雪面の凸凹から受ける抵抗も片足スキーには大きくなりますので、

スキーがまっすぐ滑る妨げにもなります。

これは直滑降だけの話。


次にターンそのものについて。

ターン中も同じように、片足スキーには1本のスキーに全体重がかかります。

同じ体重のスキーヤーが同じスピード、同じターン弧でターンする場合、

片足スキーヤーの方がスキー板に無理をさせることになります。


直滑降と同じように、スキー1本あたりの荷重が倍になれば、

ターン中の雪面への荷重も倍になります。


同じ状態の雪面に、倍の力を加えたらどうなるか?

スキーエッジより柔らかい雪面は、その力に負けて崩れてやすくなります。


しっかりと遠心力を受け止められない雪面は、

スキーのエッジに耐えられなくなり、

スキーヤーは思ったラインを通れずに、

ターンの外側へと膨らんでいくのです。


直滑降ではスピードを乗せることが出来ず、

ターン弧も理想通りにラインを描けない。


単純に考えて、LW2の片足スキーヤーは、

両足スキーヤーに比べてとんでもないハンデを、

「宿命的」に背負っているということになるのです。


もちろん、「係数」と呼ばれるハンディキャップシステムはあります。

それぞれ異なる身体条件でレースをするわけですから、

用意ドンのタイム勝負だけでは不公平きわまりない。


条件として不利な選手には、

「係数」をかけて滑走タイムを修正することになっています。


例えば、LW2の三澤選手がSGを走る際には、

「0.9243」という係数が実測タイムに掛かります。

Mt.Huttで優勝したBUGAEV Alexey選手はLW6/8-2、係数は「1.000」です。


計算タイム = 実測タイム × 係数


実測で60秒だと、BUGAEV Alexey選手はそのまま「60秒」が結果になりますが、

三澤選手の場合、「55.45秒」が正式な結果となります。


「そんなハンデをもらっているなら文句は言えねーじゃん?」

おっしゃるとおり(^^;


でも、摩擦力が倍になる宿命のLW2クラスに、

ハンデがたった7.57%だけでいいのかな?とは思うんです。


仮に、BUGAEV Alexey選手に、

ワックスをろくに入れない、滑走面の摩擦係数を倍にしたような、

そんなスキーを履かせてレースさせて、

係数を同じにしても、おそらくは三澤選手が圧勝するでしょう。


そのぐらいに厳しい状況のレースを、三澤選手は戦っているのです。

そして間違いなく、彼は勝とうとしていますし、勝てる手応えを掴んでいるはず。


「ルールだからしょうがない」っちゃあ「しょうがない」のですが、

そんなレースをどのように戦っているのか、

三澤選手のこれからも注目したいと思います。


これからワールドカップの舞台はオーストラリア大陸へ移りますが、

三澤選手のエントリーはここまで。


「本番」は1月、カナダはPanoramaスキー場から!

秋のチーム合宿を経て、

三澤選手始め、ジャパンチームがどのような戦いを繰り広げるのか、

今から楽しみでしょうがない(^^

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