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2013年12月14日土曜日

輝きを増す煌めき:20131210CopperMt.GS2....

気がつけば。いつのまにか。


そんな言葉がいつもついて回るのが、時の流れです。

ほんの少し油断するだけで、

残酷なほどに、絶望的なほどに、

取り返しがつかなくなってしまいます。


「山本新之介のNORAMカップをまるで見た来たような観戦記」も例外ではありません。

オンタイムで書き上げられればいいのですが、なかなか思うように筆が進まず....


ようやくDay4を書き上げた今、

気がつけば、現地では全日程が終了しているのです....(^^;


お楽しみ頂いている方々には申し訳ないのですが、

頑張っておりますので、どうか暖かいお気持ちでお待ちください(^^;


さて、今回はDay4、Giant Slalom(大回転:GS)第2戦の模様をお送りします。

もうすでに、リザルト(女子男子)や選手ブログなどから、

結果をお知りになっておられるかもですが、白々しく書き進めます♪


Day3では、三澤選手の大活躍をお伝えしました。

そして、Day4ではその「煌めき」がいっそう輝くのです。

現地では何が起こったか?中継を繋いで見ましょう!

CopperMt.スキー場の山本新之介レポーター?


はい、お伝えします!

私は今、スタート地点に向けてリフトに乗っております。


昨日まで、本当に寒うございました。

特に昨日などは、このリフトに乗っていると、

そのまま「天国」に行けるんだと思えるほど辛く感じたものです(^^;


でも、今日は寒気は通り抜けたようで、本当に暖かい日になりました。

公式発表では、スタート地点、フィニッシュ地点ともに-10.0℃となっております。

こんなに暖かいコンディションだと、選手たちも楽しく戦えるのではないでしょうか。


はい?-10℃でも、十分に寒い?

ええ、すでに感覚はおかしくなっております(^^;


ご覧頂いているように、天候は「Partly cloudy」

つまり、曇ったり晴れたといったところですね。

すっきりしない天気ですが、いいんです。

暖かいので(^^


リフトからは、使用する「Bittersweet」コースが見えます。

コースプロファイルはスタート標高3,403m、フィニッシュ標高3,147m、標高差は256m


今し方入ってきた情報では、コースセッターは地元アメリカチームのコーチで、

そのセットはゲート数34、ターン数32ということです。


先ほどからインスペクション(コース下見)が行われておりまして、

降りてきた選手の何人かにコースの雰囲気を聞きました。

するとですね、ターンが「きつい」と、みんな口を揃えるんです。

かなりテクニカルなコースで、タイムはかなり落ちるだろうなと、そんな感想でした。


こうやってリフトから眺めて見てもですね、赤と青のゲートの左右の間隔、

「振り幅」という言い方をしますが、確かに広いです。


いつまでもターンをし続けないと次のゲートが現れない、

そんな感じになるのではないでしょうか。

ターンの時間が長い、とにかくガマンのレースになることは間違いないでしょうね。


スタート地点が見えてきました。

ジャパンチームは....いましたいました。

ライムグリーンのスキーウェアが雪面に映えますねぇ。


ではここで、スタート順を確認しておきます。

女子選手は7カ国28名、男子は12カ国74名のエントリー。


女子Sitting(チェアスキー)クラス

26番 青木辰子選手
22番 田中佳子選手
28番 村岡桃佳選手

男子Standing(立位)クラス

41番 東海将彦選手
43番 三澤拓選手
44番 小池岳太選手
53番 伊藤史雄選手
54番 山崎福太郎選手
55番 阿部敏弘選手

男子Sittingクラス

72番 森井大輝選手
74番 狩野亮選手
78番 鈴木猛史選手
80番 夏目堅司選手
84番 谷口彰選手
85番 横澤高徳選手  以上です。


出来るならお一人ずつ、意気込みなどを聞いてみたいのですが、

スタート時間も迫っていますので雑音は控えることにします。

でもみんな、いい表情をしてますねぇ。

結果が楽しみです(^^


では、私のレポートはここまでにして、

レースの模様は実況担当の山本新之介からお伝えします。山本さん?....


....はい。実況、山本新之介がお伝えします。

たった今、前走者のスタートが終わり、

あと3分ほどで女子Visual Impaired(視覚障害:VI)クラスがレースの口火を切る。

選手を導くガイドがスタートバーの下にスタンバイ。

そのスピーカーからは、選手を気遣う優しい声が聞こえる。


ジャパンチームの1番手は田中選手。

ここ3戦、彼女は不本意なレースを重ねた。

このレースこそは納得の出来る結果を求めたいところ。


現在、彼女が持っているGSポイントは165.39pts.

このままでは、彼女が最も親しみを持つGSでの、ワールドカップの出場は難しい。

「ソチ」の選考に生き残るためにも、ここはしっかりとアピールしたいところだ。


状況が厳しいのは青木選手も同様。

「InjurySkier」という故障者リストに名を連ねてしまっている現状だが、

いい結果を出してなんとか打破したい。


逆に気負いがないのは村岡選手。

失うものは何もない彼女にとって、

ひとつひとつの経験が長いキャリアの下地となっていく。


「ソチ」の選考という大きな節目ですら、彼女にとっては通過点。

果たして最短距離を駆け抜けようとするのか、急がば回れと確実に歩みを続けるのか。


三者三様の女子Sitingクラス。


まず田中選手がコースへ飛び込む。

硬い硬い雪面を持てあましているようだ。

フィニッシュタイムは、トップから6.29秒遅れ

1本目から厳しい結果となってしまった。


青木選手も果敢にコースに挑む。

本来なら、美しさすら伴うスキー操作の技術を持っている彼女だが、まだ調子は思わしくない。


しかし、「出来ることを出し切る」というのが青木選手の信条。

どのような結果であれ、常にそれは彼女のベスト。

その姿勢は、見習うべきところが多い。

9.28秒遅れとなってしまったが、悔やむことはないはずだ。


村岡選手は上り調子。

スキーが楽しくて堪らない時期ではないだろうか。

ひとつひとつ着実に成長を見せる。

この1本目、4.13秒落ちの4位に付けた。

フィニッシュエリアでは満足げな笑顔が見える。


女子のレースが全て終わり、

コースの情報が無線を通じて飛び交っている。

かなりテクニカルなコース、上がってきた情報をもとに戦略の再構築は行われたのか。


復調途中の東海選手。

古傷の影響は少なそうに見える。

かつて「キング」と称されたその滑りが、コースサイドからでも窺える。

ストレスのないスキー操作。悪いタイムが出ようはずが無い。


三澤選手。

明らかに昨日の滑りを上回っている。

非の打ち所のないそのスキー操作はまさに圧巻。

彼の時代がやってきたことの証明になるだろう。


GSでは1歩リードしていたはずの小池選手ですら、その後塵を拝してしまう。

しかしながらその差はわずかコンマ54秒。

2本目、波乱はあるのか?


伊藤、山崎の両選手、この1本目は伊藤が上回った。ふたりの差は1.98秒。

因縁の戦いに終止符が打たれるのか?


阿部選手の滑り、大きな破綻はなく安定している。

三澤選手との差、2.76秒を2本目にどう繋ぐことが出来るのか。

ベテランの戦い方に注目したい。


男子Sittingチームは、三澤選手のラップ(トップタイム)に興奮している。

2位との差がたったコンマ32秒とはいえ、

昨日を凌ぐ快挙を十分に期待出来る位置に付けているのだ。

このことは、ジャパンチームの中で最高の連鎖反応を起こすはずだ。


まずは森井選手。

まだSittingクラスでは4人目のスタートだが、

後に続く選手たちを呆れさせるタイムを叩き出してしまう。

まさに手が付けられない。


しかし、ジャパンチームは層が厚い。

狩野、鈴木の両選手も好タイムをマーク。

調子を上向きにしている夏目選手も、いい滑りで降りてきた。

タイムが振るわないのは、森井選手が速すぎるからだ。


谷口選手も、

他の選手がコースセットに苦しんでいるのを尻目に、

ベテランらしい滑りを披露する。


横澤選手だけがきっかけを掴めてないのか、今ひとつ伸びてこない。

悩める獅子の目覚めはいつだ?....


....はい、競技1本目が終了しました!

マイクを会場レポートの山本新之介に返してもらいます(^^

いやぁ、非常に面白い展開でしたねぇ。

きっと2本目も熱狂が期待出来るに違いありません♪


では、1本目の順位のおさらいとと2本目のスタート順を確認をしておきます。


女子Sittingクラス

1本目順位 2本目スタート順

  4位      8番目    村岡桃佳選手
  5位      7番目    田中佳子選手
  8位      4番目    青木辰子選手

男子Standingクラス

1本目順位 2本目スタート順

  1位      15番目    三澤拓選手
  5位      11番目    小池岳太選手
  6位      10番目    東海将彦選手
  10位      6番目    阿部敏弘選手
  13位      3番目    伊藤史雄選手
  15位      1番目    山崎福太郎選手

男子Sittingクラス

1本目順位 2本目スタート順

  1位      15番目    森井大輝選手
  3位      13番目    狩野亮選手
  5位      11番目    鈴木猛史選手
  8位       8番目    夏目堅司選手
  10位      6番目    谷口彰選手
  15位      1番目    横澤高徳選手


ふたり揃ってラップ(トップタイム)の森井、三澤の両選手。

今日のこのふたりは誰にも止められない、そんな印象を受けた1本目でした。


しかし、そうも言ってられないのが小池選手。

差はわずかですので、逆転優勝に期待です。


狩野選手にも十分に可能性は残されているはずです。

栄冠をジャパンで奪い合う、そんな素敵な瞬間を楽しみにしています。


山崎、横澤の両選手は、それぞれクラス1番目のスタートです。

荒れの少ない雪面、この有利な状況をどう生かすのか、ここも見所でしょう。


さて、その2本目コースセットの情報が入ってきました。

セッターはカナダチームのコーチ、33ゲート、33ターンということです。


ゲートとターンの数が同じということは、

「2ゲート1ターン」という立て方はしていないということですね。

これは「スルー」とか「バナナ」とか言われるゲートですが、

リズム変化によく利用されます。


また、選手たちによっては、

攻め続けてオーバースピードに陥りかけた時、

その立て直しに利用したりすることもあるようです。


こうやってリフト上からコースを眺めていて、

リズムがやや単調のようにも見えますし、

攻め続けることで息をつく事が出来なさそう、そんな印象を持ちます。


しかし目を懲らすと、

急斜面から緩斜面、又はその逆と言った「斜面変化」を利用して、

ほんのわずかですが微妙な変化を付けてあるようです。


急斜面に飛び込んだ時にエッジが外れて落とされたり、

緩斜面の手前で減速してしまってタイムロスをさせてしまったりと、

イヤらしいトラップが仕掛けられているかも、です。

これは、コースの後半部分で大きなタイム差がつくかも知れませんねぇ。


間もなく2本目のスタート時刻となる訳ですが、

3名の前走者が滑っていきました。

見てますと、斜面変化のところで一瞬ですが、「途切れる」感じがあるように見えます。

やっぱり、苦労しそうなコースセットですね....


女子VIクラス1番手のガイドさんがスタートバーの前に出てきました。

では、実況の山本新之介がアツくアツくお伝えします!....


....目から入る情報がほとんどないVIクラス。

信じられるのは自分自身よりもむしろ、ガイドの誘導。


人と人の信頼関係のみがレースを成立させる。

コースに躍り出たVIクラス7組のアスリートたちには、

「人間の可能性」というものを見せつけられてしまう。


しかし、ここは「戦場」。

誰にどのような事情があろうとも、

ルールと、「神のように」厳格な時計が全ての競技者を公平にジャッジする。


それぞれが持つ障害は、

ハンデキャップではなく、ひとつの「特徴」でしかない。

それが障害者アルペンスキー。


Standingクラスは「特徴」の多様性で言えば3クラスのうち最も色濃い。

そんな競技が成立するのもアルペンの魅力である。


一方、Sittingクラスの多様性は薄い。

体幹の残存機能の差はあるが、

チェアスキーというマテリアルをいかに使いこなすか、

求められるのはその1点。


青木選手は、長い長いキャリアの中、トリノモデルという「新型」を選択しなかった。

「長野モデル」に愛着を持つだけでなく、その可能性を追求し続けたのだ。

惜しむらくは、この重要なシーズンを迎える際に、「Injuay」という不運を得てしまったこと。

その努力がタイムに結びつかないのは残念でしかない。


逆に、経験の少ないうちにトリノモデルを選択したのは田中選手。

その順応性を開花させ、トリノバンクーバーとパラリンピックへ連続出場を果たした。

そして現在、「ソチ」への道中、苦しんでいるのがよくわかる。

フィニッシュエリアでも表情は浮かない。


村岡選手が使用するのもトリノモデル。

体格が小さいこともあり、使用していたのは「長野」ベースのジュニア用だったが、

「勝つ」ために選択の余地はなかった。

「無理矢理」に体を合わせて乗り込んでいるが、

悩みながらセッティングを繰り返し、明るい光が見え始めた。


村岡選手の強力な武器がある。

その小さな体が必要とする小さなシートである。


トリノモデルは、倒し込み(バンク)の角度が深くなればなるほど鋭いターンが可能であり、

村岡選手のシートは、通常の体格ではシートが雪面に干渉してしまう角度でもまだ余裕がある。

つまり、彼女のバンク角は世界中の女子選手の中で最も深い。


その深く鋭いターンは、浅いキャリアを補って余りある。

このGS第2戦の結果も、表彰台まであとわずか。

栄光に手が届くまで、どれほどの時間が必要だろうか....


男子Standingの1番スタート。山崎選手は戸惑っていた。

目の前に、男子選手は一人もいない。

荒れの少ない雪面。まだ彼がコントロールし切れていない義足への影響は少ないはずだ。

この好条件、だが気負いすぎたのか、徐々にリズムを乱していった。


ひとりおいてのスタートは伊藤選手。

さらにはその3人あとの阿部選手、ともに両足のハンデはない。

実測タイムに「係数」を掛けて導き出されるハンデキャップシステム。

その係数もほぼ100%。彼らを助ける要素は何ひとつもない。

あるのは自分自身の行動とその結果のみ。


「ソチ」までの道のりは、孤独で厳しい。

早いスタートの彼らの順位は、次々と塗り替えられていった。


東海選手はトップ三澤選手から約1秒のビハインド。

師弟の成長を喜びながらも、この状況を素直に受け入れられないのはレーサーの性。

しかし、厳しい設定のコース、古傷にとっていい影響がある訳はずはない。

思うようなラインを描けていなかった。


続く小池選手はコンマ52秒のビハインド。

事実上、ここからの5選手で勝敗を争う形になる。

しかし、早々に脱落したのも小池選手だった。

一瞬のスピードロスがフィニッシュまで響く。

上位に食い込めなくなった事を誰よりも本人が理解していた。


あと3人。

三澤選手は前に並んでいるライバルたちの数を数えた。

実際の距離よりもはるかに近いところに彼らはいる。

コンマ38秒とコンマ32秒がふたり。

誰もが、三澤選手を引きずり落とそうと目論んでいる。


まずはALYABYEV Alexandr選手が気を吐く。

2本の合計タイムを唯一の1分45秒台に叩き込む。

続くBUGAEV Alexey選手も45秒台だが中盤で届かず。

地元の大きな声援を受けたスタートしたSTANTON James選手、0.05秒届かなかった。


STANTON選手のフィニッシュの前には、すでに三澤選手がスタートしている。


1本スキーの独特なシルエット。LW2では世界最速のスキーヤー。

エッジが刻んでいくターン弧は、明らかに他の選手と異なる。


単調とも取れるリズムのコースセット。

Slalom(回転:SL)を得意とする彼は、一定のリズムで攻め続けることを苦としない。

そして、トラップであるはずのわずかなリズム変化も全て読み切っていた。

斜面変化でも雪面からスキーが外れない。


フィニッシュエリアが見えてくる。

通過をジャッジする旗門員が口笛を吹く。

数々のレースを見てきた彼にとって、すでに勝者が誰か理解するのは容易だった。


フィニッシュ前の緩斜面。

ほとんどの選手はスピードを落とす。

唯一の例外が、たった今、駆け抜けた。

水が流れるように....


2位と1.48秒差という圧倒的な勝利を、

Sittingクラス1番目スタートの横澤選手が耳にしたのは、

自身のスタート30秒前だった。


「拓、すげぇな....」

東北なまりのイントネーションは、やや高揚していた。

               (↓モトクロスライダー山本鯨選手のページから拝借)
かつてモトクロスレース国際A級ライセンスで戦っていた彼は、

勝者のみが味わえる空気を知っている。

それだけに、その熱気冷めやらぬフィニッシュエリアに飛び込む、

自分自身へのもどかしさを感じてしまう。


青木選手同様、長野モデルにこだわってきたのが谷口選手。

この数年、自身が信じている長野モデルの性能を出し切れていない。

噛み合わない歯車が、思うように回り始めるにはもう少し時間が掛かりそうだ。


少しずつ歯車が噛み合い始めたのは夏目選手。

チームメイトたちのような派手さはないものの、その実力は確かなものがある。

彼のタイムを聞いた世界の有力選手たちは、また一人、ライバルが増えたことを実感した。


彼の名を聞いてまず最初にSLという競技を思い浮かべるのは、すでに失礼に当たるだろう。

オールラウンダーとして開花し始めた鈴木選手には、GSも「獲る」べき種目となっている。

だが、一瞬だけ破綻させてしまったスキー操作、Day3の再現とはならなかった。


鈴木選手からは日米の選手が交互にスタートした。

昨日、森井選手を阻んだWALKER Tyler選手。

ギリギリのプッシュで逆転の可能性を残す。

リーダーズボードの最上段に彼の名前を見た地元の観客は、両手を高々と突き上げる。


コース上にいるアメリカチームのコーチ。

彼はの仕事は、スタート地点へコース状況を報告することだ。

彼の仕事はWALKER選手の好タイムで報われた。


だが、まだ安心は出来ない。

視線を上げると、狩野選手がスタートしたところだった。


ジャパンはなぜ、こんなにいい選手たちが揃っているんだ?

アメリカチームに携わっている彼には、十分に世界で戦えるチームにした自負がある。

しかし、たった今、目の前を駆け抜けた狩野選手、

そしてこのあとに控えている森井選手のことを考えると、

恐怖すら覚えるのだ。


「Oh!....」

彼の感傷を妨げたのは狩野選手のクラッシュの瞬間を目の当たりにしたからだ。

その滑りが破綻しなければ、どんなタイムを叩き出したことか。


彼の低い唸り声はまだ続く。

1本目、最も森井選手に近い位置にいたCALHOUN Heath選手。

WALKER選手かどちらかが最高の結果をチームにもたらすと信じていた。

しかし、CALHOUN選手はコースサイドへ消えていく。

彼は手元のストップウォッチを止めた。

スタートから彼がいる地点までの区間タイムの計測も、彼の仕事だった。


「Jesus」

彼に神の加護はあるのか。


リセットされた時計が再び動き始める。

おそらくは彼が最も理想的と考えるスキーヤーがコースに現れた。


彼の鳥肌は寒さのせいではない。

ストップウォッチが表示した区間タイム。

「Crazy....」

彼には、そう呟くことしかできなかった。


絶対に計測ミスはない。

いったいどれほどのタイムが出てしまうのか。

自我を取り戻した彼に、無線から3.56秒差という報告が入る。


先ほどと同じつぶやきを、先ほどより低いトーンで、

彼はもう一度繰り返すのだった....


....さて、日中の熱戦、日が沈んだあとも興奮がまだ醒めません!

私は今、Prize giving celemony会場に来ております。

ジャパンチームのダブルウィン!

勝者のふたりは、先ほどから人だかりから解放されていません!


レース中はライバル、今は友人という他の選手たち、

そしてレース関係者が入れ替わり立ち替わり彼らを取り囲んでいます!

メディアのフラッシュもまったく途切れません!

彼らの偉業がどれほどのものだったか、本当によくわかります!


セレモニー開始の予定時間は過ぎておりますが、

この混乱はしばらく続きそうです!


先ほど、公式結果の配布がありました。

最終のリザルトを確認しておきます。


女子Sittingクラス

4位 村岡桃佳選手
5位 田中佳子選手
9位 青木辰子選手

男子Standingクラス

優勝 三澤拓選手
 5位 小池岳太選手
 8位 東海将彦選手
 9位 阿部敏弘選手
13位 伊藤史雄選手
16位 山崎福太郎選手

男子Sitingクラス

優勝 森井大輝選手
 4位 鈴木猛史選手
 6位 夏目堅司選手
 9位 谷口彰選手
13位 横澤高徳選手
 DF 狩野亮選手  以上です(^^


日に日に輝きを増すジャパンチームの「煌めき」、多くの言葉は要らないでしょう。

この光景が、「ソチ」で再現されることを、

そして、チームメイトみんなが笑顔でパラシーズンを終えることを祈りたい♪


お、そろそろセレモニーが始まるようですね。

こんな素敵な瞬間に立ち会えること、本当に嬉しく思います。


さて、明日はDay5、SLの第1戦を迎えます。

SLといえば!そう、あの選手が暴れるはずです!


素晴らしい結果をお伝え出来ることを祈って、

ここCopperMt.スキー場からお別れです。

ありがとうございました!

1 件のコメント:

  1. 本文でのリコメントありがとうございます。(ちょっと照れくさい(^^;;;))
    桃佳ちゃんの名前違ってました、済みません。
    森井さん三澤さんの2金すばらしいでした。
    Dangan青木さんのど根性もかっけーです。

    ご無理なさらず、また、「中継」お願いします(^^)

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コメント、ありがとうございます。