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2014年3月22日土曜日

3日がかりの苦闘(後半):20140314SochiSC(SG)Men....

ソチパラリンピックの日程も、(このブログでは)残すところあと3日(^^

参加選手たちの疲れは、すでにピークを越えてたのではなかろうか?


でも、前日の鈴木猛史選手がもぎ取った金メダルに、

ジャパンチームの雰囲気は盛り上がっていたはずです(^^


この日は、ソチパラリンピックDay7。

足かけ3日のSuperCombi(スーパー複合:SC)、その2本目が行われました。


1本目はDay4、思い返せば、雨とガスと柔らかい雪面に悩まされた激闘でした。


そこを生き残った選手たちが、この日、栄冠を掛けて疾走しました!

さっそく、その模様を見ていきましょう(^^


映像は....YouTubeで公開されていません!なんてこった!!

お手元に録画されていれば、再生をして下さい(^^;

映像がお手元にない方には....「観戦記」の出番ですね♪

リザルトを元に「見てきたように」書いていきます!

それでは、どうぞ!!


....1本目を生き残ったのはわずか10名。

晴天に恵まれたこの日の2本目はどこかもの悲しい雰囲気があった。

相変わらず、雪面状況は良くない。


SCの2本目だと考えると、10.05秒というビハインドに気が滅入りそうになる。

夏目選手は何もかもを記憶の奥に追いやった。


これはSCではない。

単独開催のSuper-G(スーパー大回転:SG)なのだと思い込むことにした。

自身、SGとの相性は悪くない。モチベーションを高めるには効果的な方法だった。


それに、あのDidNotFinished(途中棄権:DNF)、実際に夢枕でうなされてもいた。

この悪夢を振り払わない限り、胸を張って帰途につけない。

この2本目は、自身の「精算」という意味も含んでいた。


森井大輝レプリカと言われることもある第1ゲートの入り方。

独特の重心移動が、的確に雪面を捉えた。


ふたつ、みっつ。

まるで音楽を奏でるようにリズムを刻む。

テンポが上がる。

それらに共振するサスペンションの振動は、ひとつの楽器のようでもあった。


IT(中間計時)。

すでに滑り終えた2選手を大きく突き放す。


大自然と自身、そしてマテリアルが奏でる「協奏曲」は、

絶妙な軽やかさを伴い、心地よく流れていく。

その終止線を迎えるまで、演奏者はオーディエンスを魅了した。


谷口彰選手。

引退を決めている彼にとっては、最後の高速系ランとなる。

慈しむように愛機をコースに滑り込ませた。


わずか1分半ほどの短い旅路だが、

これまでの、20年にもなるキャリアの全てを込めて走った。


様々な事があった。

様々な経験が出来た。

様々な出会いがあった。


視界がぼやける。

それは、目もくらむようなスピードのせいではなかった。


やはり、この男が来た。

DUECK Josh選手(CAN)。

チームの無線がトップタイムの更新を伝えてきた。

今期は必ずと言っていいほど、ジャパンチームに絡んで来た選手のひとりだ。


必ずこの2本目は「来る」と確信していた。

だが、森井大輝選手は動揺していない。

越えなければならない壁は彼ではない。

0.81秒という1本目のビハインドでもない。


自分自身。全てはそれに尽きる。

押し込んだスタートバーは、自分を「解放」するための箍でもあった。


溢れ出す激情に身を任せ、

バケットシートに体を預ける独特のスタイルで、

誰よりも速くコースを駆け抜ける。


だが、その姿に余裕は感じられなかった。

実力の全てを出し切れば栄冠に最も近い存在だとは自覚している。

しかしこれまで、まるで運命に翻弄されるかのようにハードラックに振り回されてきた。


勝利の女神を振り向かせるには、まだ煌めきが足りないのか。

森井選手は、自身、まだ未経験の「領域」に飛び込んでいく。


ギャップ。

うねり。


弾かれようと叩かれようと、「落下」方向は見失わない。

ゲートが行く手を阻んでもはじき飛ばす。


切り返し。

誰よりも早いエッジング。

他の選手が掘り進めたエッジングギャップはまだ先だ。

こちらはすでにターンを始めている。


ゲート。

ギャップ。

それぞれの位置が手に取るようにわかる。


ゲートを掠める最速ライン。

ライン上のギャップ。

ギャップが掘り進められた方向、自分のラインと交錯していた。


一瞬の「逆バンク」と「キッカー」。

スキーエッジは「射出」されるように、重心から離れていった....


ちょいと説明が必要でしょうか(^^;

森井選手がDNFとなったあの局面、

映像ではギャップに飛ばされてしまった結果というように見えますが、

よくよく見てみると、もう少し事情は複雑なように思えるのです。


あの局面までは....

①森井選手は最速のラインを走っていた
②あのターンインは、最高のタイミングと絶妙なキレで仕掛けた
③少々のギャップなどは、問題なくリカバリーをする技術を、森井選手は持っている

そして森井選手の滑りの特徴として、

④誰よりも早いターンインをしていた
⑤初期のターン弧は、他の選手のラインよりも内側に刻まれる

さらに、他選手のラインは、

⑥森井選手のラインと角度が違う
⑦ターンインのタイミングが遅いため、
  雪面が掘れるポイントは、森井選手の進行方向の先にある
⑧雪面が掘れる方向は、森井選手のラインに対してコース外側から内側となっていた

以上のことを整理すると、

⑨森井選手は、結果的にスキーの進行方向に逆らう角度の雪面ギャップに入ってしまった
⑩ターンに入っていた体の重心はゲート側に向いていた
⑪スキーは、ギャップの方向(森井選手に対してコース外側)に取られてしまった
⑫ギャップでスキーが宙に浮いてしまい、
  空中で、スキーはコース外側方向へ、体はゲート側方向へと流れていってしまう
⑬結果、「横倒し」になるように転倒してしまった

こんなところではないでしょうか....


だいたいの場合、インスペクションの時に、

「この辺は掘れそうだな」と予想することが出来るのですが、

「この辺だろうな」とは判っても、「ここにこの方向で」などとは絶対に判りません。


予想も出来ない、そしてコントロールを失うような局面にぶつかってしまった。

本当に、「運が悪い」としか思えません(^^;


森井選手自身が戦前、「パラリンピックには魔物が棲む」と言っていましたが、

残念ながら、その魔物は森井選手自身を襲ってしまったのかなと思ってしまいます。


まあ、森井選手本人の見立ては違うかも知れません。

あくまでも、σ(^^が「わかったように」書いているだけなので、そのあたりはご容赦を♪


さあ、残すところ、男女ともそれぞれあと1種目。

GiantSlalom(大回転:GS)レースのみとなりました。


次回は、まず男子から。

「本命と言われることの厳しさ」にて。

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