ある方は「聖地」という表現をされていたのを聞いたことがあります。
そのぐらい、特別なゲレンデなんだと思っています。
σ(^^にとっても、昨期までの主戦場。
障害者アルペンスキーでは、国内最高峰のレースが開催されている場所です。
今年も、
「ジャパンパラ冬季競技大会」
アルペンスキー競技の熱戦が繰り広げられております♪
なお、この大会はIPCコンチネンタルカップカテゴリーとして、
ワールドカップの下に位置づけられている大会です。
国内組はこの大会を足がかりにして、世界を窺います。
ちなみに、ジャパンパラ(略称:ジャパラ)は、
クロスカントリーも、ここ白馬での開催なのです。
やはり、障害者スキーヤーにとっても、「聖地」なのでしょうかね(^^
昨日(21日)は、障害者アルペンスキーのスーパー大回転(SG)競技が行われました。
世界を転戦し、凱旋を果たしたナショナルチームを、
下克上を狙う国内組が迎え撃つという構図。
さらに、エントリーリストを見るとお隣の韓国やオーストラリアの選手の名も。
かつて、ナショナルチームのメンバーに聞いたことがあるんです。
海外のレースが終わった後の国内レースは、気軽に楽しく滑ることが出来るだろ?と。
返事はこうでした。
「とんでもない!国内だからこそ、ほんの少しも気が抜けない。
無様な走りをしたら後で何を言われるか!(笑)」
戦いは、海外組の「ガチ」と国内組の「ガチ」が真っ向からぶつかります。
そこに割って入ってくるのは、コリア&オージーの侵略者たち(笑)!
現地の様相は、一見和気藹々に見えますが、
実はのっぴきならないプライドとプライドがぶつかるのです(^^
σ(^^は、仕事そっちのけで、
レースを「まるで見てきたよう」に想像する日々が続きます♪シゴトシロヨ....
では、八方尾根の様子を見てみましょう!
公式リザルトをお手元にどうぞ(^^
ちなみに、公表されているリザルトは2種類。
IPCフォーマットと、国内格式(男子、女子)のものです。
このジャパラはコンティネンタルカップとしての位置づけの他に、
「国内戦」としても位置づけられています。
Visually Impaired(視覚障害:VI)、Standing(立位)、
Sitting(チェアスキー)の3カテゴリーに加え、
世界格式では設定のないID(知的障害)、D(聴覚障害)の2カテゴリーも設定され、
IPCが設定していないカテゴリーでも、同じ障害者だからみんなでレースを楽しもうという趣旨。
このあたりは日本的文化といったところでしょうか(^^
IPCの選手登録をしていない選手でもエントリーできるのですが、
当然のことながらIPCのレースポイントは獲得できません。
リザルトが2種類あるのは、
IPCカテゴリーとしてのジャパラと、
国内戦としてのジャパラが並立しているためです。
少しややこしいですが、わかってください(^^;
3月21日、気象庁(白馬観測所:標高703m)の観測データでは、
午前9時現在の気温-2.7℃、快晴。
ちょいと暖かいのは、この時期だから仕方あるめぇ(^^
SGに使用されるコースプロファイルは、
スタート標高1,403m、フィニッシュ標高904m、標高差が499mとなっています。
午前9時からはコースオープンの時間となっていて、
一般客を排除した競技コースを1人ずつ、1回限り滑ることが出来ます。
ゲートはまだ立っていませんが、
直前の雪質など、コース状況をしっかり確認する、
とても大切な時間です。
コースはしっかりと圧雪されていて、
さすが八方尾根!といったところでしょうか(^^
気になるのは気温上昇による雪面の緩みですが、
白馬観測所のデータから単純に計算すると、スタート地点の気温は-6度前後。
これから暖かくなるとしても、「ぐすぐす」に緩みはしないはずです。
とても、いいコンディションだったことでしょう(^^
コースをひとり、またひとりと滑り降りてきます。
眠気覚ましにかっとんで行く選手。
慎重に、足下を確認しながらおりていく選手。
ここのSGを初めて滑る選手は、どう滑っていいのかわからないといった様子(^^
すでに戦いは始まっていますよ♪
すべての選手が滑り終わり、コースはクローズ。
同時に、コースセッターが戦場を設定するために入っていきます。
コースセッターはジャパンチームの切久保豊コーチ。
地元白馬の切久保コーチはこのコースの何もかもを知り尽くしていて、
目をつむっていてもゲートを立てられることでしょう(^^
白い雪面に赤と青のゲートが映えます。
アルペンレーサーにとっては、とても落ち着く風景です。
同時に、居ても立ってもいられなくなるぐらいに駆り立てられます。
どんな戦場になったか、σ(^^もインスペクション(コース下見)に入ってみようかしら♪
スタートハウスは八方尾根の中腹、
パノラマゲレンデのペアリフトを降りてすぐのところにあります。
写真は現地ですが、
イメージです。
スタートしてしばらくは緩斜面が続きます。
5旗門をスムーズに、スピードを殺さずにクリアしていくと、
普段ならコース外のところへ誘導されていきます。
ストンと落とされた斜面の先は林道。
幅も狭く、ゲートはコース幅いっぱいに立てられています。
スピードが乗っていることもあって、
慣れていない選手には、まるで「針の穴を通す」ようなラインに見えることでしょう(^^
でも、その狭さもつかの間。
広がった視界の先には、先の見えない1枚バーンが現れます。
空に繋がっているかのようなその風景、ジャンプをするほどの斜面変化ではないにせよ、
飛び出す方向とその後の斜度を理解していないと、「すってんころりん」です(^^;ご注意を♪
その1枚バーンを3ターンで駆け抜けるともういちど狭い道へ。
ここは平坦なコースではなく、左右にうねっている所。
この斜面の入り口はしっかりとラインを取らないと、途中でのライン修正は難しい。
ずるずるずるずるとスピードは落ち続けていきます。
この先は「M's(エムズ)ジャンプ」といわれる所。
ジャンプといっても、「軽く浮く」程度なのですが、
ここの難しさはジャンプそのものより、「その次」へのアプローチにあります。
この先は、名物「タテッコ」といわれる大斜面!
しかもエムズを抜けても、タテッコひとつ目のゲートがまだ見えてこないのです。
この場面で次のゲートを探しているようでは、タイムアップなんてとうてい無理。
エムズ前からしっかりとラインを決め、
大きく口を開けたタテッコの斜面にびびりながら(笑)、
迷わずにゲートを目指していきます。
そして、ゲートが見えたらターン開始、では遅い!遅すぎる!(^^;
SGの板は、とにかく曲がりません。
大きなターン弧の後半をしっかりとゲート際に合わせるためには、
ゲートが見えない内からターンを始めていかなくてはならないのです。
そこまでしてようやく、タテッコで勝負できるだけのスピードが得られます。
まるで大空からダイブするような感覚になるタテッコの急斜面。
あまりにも広い斜面では距離感がしっかりと掴めません。
SGターン弧の大きさをしっかりと身につけ、ゲートとの距離感を掴んでおかなければ、
ゲートからゲートへ直線的に滑ってしまうことになるでしょう。
まっすぐ行ってくるっと廻る。
まっすぐ行ってくるっと廻る。
その繰り返しでは重力に逆らっているだけ。
それはスピード系競技の神髄に反します(^^;
大きく丸く、気が遠くなるような落差、
スピード感と戦いながら降りていく先で待ち受けるのは、
ここも名物「馬留めジャンプ」。
馬でさえも恐怖を感じて止まってしまうと言われるのが名前の由来。
そんな場所であっても人間様は止まってはいけないのです(^^;
2階から飛び出していくような落差を、是非一度ご体験頂きたい!
ちなみにσ(^^;は着地に失敗、
50mぐらいを転がりながらコース外へ飛び出たことがあります。
正直、「(いろんなことが)終わった」と思いましたよ(^^;
ここまでしっかりと滑り降りてくれば、もう難しいところはありません。
「咲花(さっか)ウェーブ」という、先の見えないうねり斜面が待ち構えるだけです。
先が見えないと言っても、実は緩斜面。
しっかりとラインを意識しておけば難しいものではありません。
少しずつ大きく見えてくるフィニッシュエリアに飛び込むだけ!
さあ、みんなはどのように攻めるのかな?(^^
スタートは、女子のあと男子、
それぞれVI、Standing、Sitting、ID、Dの順になっています。
全選手の紹介をしたいのですが、
普段の交流がないVI、ID、Dの各カテゴリーの選手のことは、
よく知りませんので割愛!(^^;モウシワケナイ....
さて、まず一番最初にコースに飛び出すのは、
女子Sitting、ビブ(ゼッケン)ナンバー1番。
将来の女子エース候補の筆頭格!
村岡桃佳選手です!
年越しNORAMを経験して、
メキメキと実力を付け始めた美少女レーサー!
このジャパラをどう戦うのか楽しみです(^^
そして、迎え撃つのは往年の名レーサー。
押しも押されぬ元女子エース、大日方邦子選手!
引退後もその実力を保持し続けている大日方選手は、
頭角を現しつつある村岡選手とどう戦うのか?
新旧の激突がいきなり実現します!
男子Standingも面白いですよ。
ヨーロッパ帰りの小池岳太選手がビブ6番、三澤拓選手が7番。
迎え撃つのは、国内組、ビブ8番の伊藤史雄選手と9番の山崎福太郎選手!
そしてそして、こちらも元パラリンピアンが参戦!
お久しぶりの阿部敏弘選手!
ビブは10番で、そしてイケメン!(^^
男子Sittingは壮観といっていいメンバーが揃っています。
最初にスタートするのは、ビブ11番PARK Jong Seork選手(KOR)!
ヨーロッパでジャパンチームと渡り合った韓流レーサーは、
帰国してゆっくりする事よりも、この戦いを選択しました。
海外の戦いの続きを日本国内に持ち込まれたジャパンチームは、
このまま笑って返すわけにはいきません!(^^
容赦なく、ジャパンチームの底力を見せつけなければ!
ビブ12番森井大輝選手を筆頭に、
13番鈴木猛史選手!
14番夏目堅司選手!
15番狩野亮選手!
16番谷口彰選手!
そうそうたるメンバーが顔を揃えました!
世界を席巻した森井、鈴木の2選手の活躍はもうご存じのはず。
そして、夏目、谷口の両選手は、この白馬村が地元。
狩野選手だって長野市を活動の拠点にしていたぐらいですから準地元ですな(^^
この5選手は、プライドを賭けてでも「獲り」に来ることでしょう!
まだまだ海外選手の攻勢は続きますよ。
17番BUDGE Lincoln選手(AUS)、
18番LEE Chi Won選手(KOR)と続きます。
BUDGE選手は、昨期の日豪合同軍事演習でご一緒しました。
今期は、σ(^^のかつての恩師、伴一彦氏のコーチングの元で実力を付けたに違いない!
LEE選手は....申し訳ない、存じ上げていません(^^;
ジャパンSittingの最後を飾るのは、19番今野英樹選手!
こちらはレースを始めてからまだ日が浅いのですが、その貪欲さは国内随一!
いずれ、ジャパンの一角に食い込むのではないでしょうか(^^
以下、男子はID、Dと続いていきます。
ここに、σ(^^;がいないのは非常に切ない....
いずれ必ず復帰しますからね♪ソレハイッタイイツノコトヤラ....
スタート直前、盛り上がる会場の熱気は、気温もぐんぐんと上昇させます。
大会公式発表では、フィニッシュエリアで±0℃。
スタートハウスでも-2℃程度でしょう。
日差しの下にいると暑さを感じるのではないでしょうか。
暑さ、アツさ....選手たちのテンションが最高潮に高まった時、村岡選手がスタート!
彼女のスタートを見送った大日方選手。
「まだ、若いわね」と言ったかどうかわかりませんが、そのふたりのタイム差は6.02秒!
女王の圧勝でした!(^^
男子Standingは、凱旋組2人の競り合い。
わずか0.55秒で小池選手に軍配が上がります。
阿部選手は少し離されての第3位。
福ちゃんは....ちょいと苦労したか?(^^;
なお、伊藤選手はDid not start(不出走)でした。
男子Sittingは森井選手の優勝、2位狩野選手、3位夏目選手と続き、
以下鈴木選手、谷口選手と外国勢を寄せ付けませんでした!
なんと言ってもホームですからね(^^
今野選手は、どこで止まっちゃったのかなぁ....
最終の順位とタイムは、リザルトにてもういちどご確認ください♪
ところで、IPC女子のリザルトがないのはなぜかって?
これにはとても悲しい国内事情がありまして....
IPCのレースとして成立させるためには、
カテゴリーごとに、ポイント保持者3人以上がスタートを切らなくてはならないそうです。
今回の、ジャパン女子ポイント保持者のエントリーは、村岡桃佳選手ただひとり....
VIとStandingはエントリーすらありませんでした。
結局、女子のコンチネンタルカップとしてのジャパラは不成立。
つまり、国内のレーサーが少ない女子は国内で世界戦が設定できずに、
海外へ飛び出さなくてはIPCのポイントが得られないという悲劇に見舞われているのです。
国内でレースを成立させようと思ったら、
あとふたりのポイント保持者にエントリーしてもらうか、
海外から選手を招待するしかありません。
レーサーのいないVIやStandingはまだしも、
村岡桃佳選手にとっては大変な苦難となっているわけです。
σ(^^が女子だったら、迷わずに協力するのですが....
σ(^^;が女子だったら....気持ち悪いですか?
さて、本日(22日)行われた競技はスーパー複合(SC)でした。
SGと回転(SL)を1本ずつ走って合計タイムで競う厳しい競技。
どのような結果が待ち受けていることか、楽しみです!
この連載、ヨーロッパだったら時差があるので書きやすかったのですが、
国内の大会だからすでに結果をご存じの方もおられるだろうなぁ....(^^;
後追いで書くのもマヌケかも知れませんが、
あくまでもリザルトだけ見て書いていますのでご了承の程を♪
ではまた、白馬八方尾根スキー場でお会いしましょう!
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