一緒に耐えよう、立ち直ろう!東北! がんばろう!日本!

2013年3月3日日曜日

The Perfect!Part2....


障害者アルペンスキー世界選手権も9日目、

GiantSlalom(大回転:GS)が行われています。


現地からのリザルトだけを元に、

実況山本新之介、解説山本新之介で、

想像力をフル動員してお送りしております(^^


1本目のおさらいは、前回の投稿をご覧下さい♪

また、リザルトはこちらです。
女子リザルト 男子リザルト


では、映像を会場に戻しましょう。

すでに日は高く昇っており、気温はぐんぐんと上昇しております。

スタート地点は-6.2℃、フィニッシュエリアではなんと、-2.0℃

スキーウェアを着て日差しを浴びていると、暑く感じる選手もいることでしょうね。


2本目のコースセッターはカナダチームのコーチです。

ゲート数42、ターン数も42。

共に同じ数ということは、いわゆる「スルーゲート」といわれる、

2ゲート1ターンが無いということです。

それがどのように影響するのか、しないのか。

コースに入ってみなければわからない(^^;


では、ここで選手たちの表情を見てみましょう。

女子Sitting(チェアスキー)クラス1本目、1分29秒21で6位の田中佳子選手

ラップ(トップタイム)から約14秒の大差をつけられてしまいました。

その表情は硬いですが、撫子の意地を見せて巻き返しをはかって欲しいものです(^^


一方、こちらは男子Standing(立位)チームのお三方。

1本目6位の小池岳太選手は、ラップから2.96秒差。

2本目の滑り次第では、大きくジャンプアップする可能性があります。

いつもよりも目の色が違うように見えるのは気のせいではないはずです。


三澤拓選手東海将彦選手は僅差の14位と15位。

ラップからは約6秒離され、少し厳しい状況です。


でも、師弟関係とも言えるこのふたりが、

同じレースを戦えるというのは大きな安心感があるはず。

その気持ちの余裕がいいレース結果に結びつくことを願っています。


そして、2本目はふたりだけになってしまった男子Sittingチームです。

大差をつけてのラップと思われた森井大輝選手でしたが、

CALHOUN Heath選手(USA)に0.45秒差の2位で食いつかれています。

3位のRABL Roman選手(AUT)が2.45秒差の3位ですから、

事実上の一騎打ちと言えるのかも知れません。


ですが、これから競り合いが始まる事の方が、

森井選手にとっては燃えるのかも知れませんね。

ちょっいと近づきがたい雰囲気にも見えます。


その森井選手から遅れること3.46秒で5位に付けた鈴木猛史選手

森井選手との差は大きく残ってしまいましたが、

3位の選手とは1秒以内ですので、しっかりとポディウムを狙える位置にいますね。


2本目は、1本目の上位15名の順位を逆にして、15位の選手がトップスタートとなります。

Standingクラス15位、14位の東海、三澤の2選手が相次いで早いスタートです。


その前に、まずは女子選手。

少し深刻な表情も見せていましたが、気持ちの切り替えは出来たのか?

いま、田中選手がコース上に飛び出していきました!

チームメイトに見守られながら攻めていきますが、

やはり、やや苦労しながらコースと戦っているようです。


女子Sittingクラスのあと、

男子Visually Impaired(視覚障害:VI)クラスの静かで熱い戦いが始まりました。

Standingクラスのスタートに備える師弟のふたり。

三澤選手の目の前には、目指している大きな背中が映っているはずです。


静寂の時間はそんなに長く続きません。

会場にはざわめきと歓声が戻り、

いよいよ東海選手のスタートからStandingクラスが始まります。


まずはStandingの基準タイムを作る役目の東海選手

まだ不安の残る足で、どこまで自分にムチを入れることが出来るのか!

いま、三澤選手の声援と共にスタート!


それから45秒後、三澤選手も後を追います。

フィニッシュエリアで、ふたりとも笑顔で会えますように!


その後、7人の選手を見送った小池岳太選手がスタートにつきました。

現在のリーダーズボードの基準タイムは、ALYABYEV Alexandr選手(RUS)の2分14秒45。

小池選手はそのタイムより0.12秒のリードを持ってのスタートとなります。


守るべきはそんなタイムではなく、

1本目ラップのGAUTHIER-MANUEL Vincent選手(FRA)との差2.97秒を攻めるべき。

しなやかな長身をコースに投げ出して、果敢に攻める小池選手

中間計時はALYABYEV選手をわずかに上回った!

その会場アナウンスはSittingチームの耳にも入り、ふたりの表情が明るくなります。


しかし、コーチの元に上がってきた情報は、

小池選手はその後大きくタイムを落としたことを伝えるのです。

「後半、かなり雪が緩んでいるようだぞ」


暖かい日差しは、固く締まった雪面の状況を大きく変えてしまったようです。

しかし、前半は硬い雪面のまま。

後半の攻め方は変えて行かなくてはなりません。


その後もStandingクラスでは、

後半にタイムを大きく落とす選手が続出します。

雪面が変わり始める区間をどこまで正確に把握するかが、

Sittingクラスの勝負となるでしょう。


各国のチームも慌ただしく情報を集めているようです。

中にはトランシーバーに向かって怒鳴り声を上げている人も....


Sittingチームのふたりは、鈴木選手が11番スタート、森井選手は15番スタート。

小池選手よりも20分近く遅いスタートです。

まだまだ情報を待つ時間があります。

Sittingクラスが始まってから方針を決めてもいいぐらい。

チームに深刻な雰囲気はありません。


地元スペインのESPALLARGAS JUAREZ Oscar選手から、Sittingクラスがスタートしました。

Standingクラスでは、後半区間のタイムは37秒台から42秒台にまで落ちていました。

Sittingクラスでは、まだ40秒を切る選手はいません。


ところが、6番目にスタートしたJELINEK Oldrich選手(CZE)の選手がフィニッシュした直後、

再び、チームの新たな情報がコーチの元へ届くのです。


「緩んでいた雪面が、再び固くなってきている!」

時刻は1500時を回っています。

すでに傾きかけた日差しは雪面を温めるのを止め、

替わりに冷たい空気が気温を下げ始めていたのです。


鈴木選手のスタートまであと3人。

「猛史!後半は硬くなってる!そのつもりでいけ!」

スタートハウスにコーチが飛び込み、その情報を伝えました。


「了解です!」

そういうことなら、途中で攻め方を変える必要はない。

鈴木選手はもちろん、更にスタートの遅い森井選手には、これ以上ない朗報です。


当然のように、似たような情報が各チームに伝わっているのでしょう。

スタートハウスにはひっきりなしに各国のコーチの指示が飛んでいます。


再び後半区間のタイムは伸び始め、

情報を確信した鈴木選手は逡巡無くコースへ飛び出します!


再びタイムが動き始めたことを観客たちもすでに知り、

フィニッシュエリアでは軽いざわめきが起こっています。


鈴木選手の前、FRANCOIS Frederic選手(FRA)が、

それまでのリーダーズタイムを1.37秒縮めて大歓声を招いた後、

すかさず、鈴木選手の中間タイムが表示されました。


それはFRANCOIS選手と0.18秒遅れ!

そんな差は差ではありません。


後半区間、チームの情報を信じ攻め続けた結果、

0.95秒という大差をもって観客たちを湧かせました!

鈴木選手が堂々のトップタイム!


「よくやった!猛史!」

間もなくのスタートに備えていた森井選手も、チームメイトの活躍を喜びます。

その後も次々とフィニッシュエリアの情報が届きます。


「KUNZ Christoph選手(SUI)届かず!」

「RABL Roman選手(AUT)、大きくロス!」


森井選手はスタートバーについています。

ひとりがコース上に出ていますが、その結果は下でないとわかりません。


そのひとりとは、1本目0.45秒しか差の無かったCALHOUN Heath選手(USA)

彼はどのようにこの状況を滑ったのか?

わずかなミスがひとつで、勝利の女神のほほえむ方向が変わります。


そして....

コース外に弾き出されていたCALHOUN Heath選手は、

女神の微笑みが森井選手に向いたことに打ちのめされていたことでしょう。


フィニッシュエリアから森井選手の滑りを見た鈴木選手は、

自分が2位に落ちるという思いよりも、

圧倒的なタイム差で森井選手が勝つ瞬間を見られることに興奮しているようです。


4.32秒。

この圧倒的なタイム差は、

準優勝者にすら、観客として存在することしか許しませんでした。


優勝 森井大輝選手!

準優勝 鈴木猛史選手!

本当におめでとうございました!(^^


では、最終結果を確認しましょう♪

Women's Giant Slalom 

Sittingクラス
6位 田中佳子選手

Men's Giant Slalom

Standingクラス
7位 小池岳太選手
12位 東海将彦選手
13位 三澤拓選手

Sittingクラス
優勝 森井大輝選手
2位 鈴木猛史選手
DNF 狩野亮選手
    夏目堅司選手
    横澤高徳選手

となりました!


いやいや、本当に久しぶりに見た森井選手の「Parfect win」でした(^^

森井選手は「追われる立場」になって久しいですが、

なんだか追われるたびに強くなっていますなぁ....

追う選手たちはたまったものではないかも知れません(^^


さて、この世界選手権は残すところTeam Event(団体戦:TE)のみとなりましたが、

ジャパンチームはTEへのエントリーはしていませんでした。

という事で、これで全てのスケジュールが終了したことになります。


選手、コーチ、スタッフのみなさん、本当にお疲れ様でした!(^^


チームはこの後、ロシアのソチへ向かいます。

3月7日~12日に行われるワールドカップ最終戦であり、

来年のソチパラリンピックのプレ大会。

様々な意味合いを持つ、非常に重要な戦いを迎えます。

その大会も要チェックですよ♪


ジャパンチームの活躍を祈りつつ、ここLa Morina Ski Resortからお別れです(^^

みなさん、ごきげんよう♪

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