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2013年1月25日金曜日

コンマ1秒の世界....

よく、レースの話では「0.1秒の世界」という表現がされます。

まあ、そんな話を聞いてもピンと来ないのは確かですよね(^^;

「ああ、実感出来ないぐらいにシビアな世界なんだな」

ということが、おぼろげにわかるぐらいでしょうか。


そんなとき、σ(^^はこういう説明をしています。

「早口で『あいうえおかきくけこ』と言った時、

その『あ』と発音した時間がコンマ1秒だよ」と。

これもよくわからないたとえですが(^^;


そんなよくわからない時間の話が、現実として存在するレースの世界。

そのわずかな時間差に決定づけられる世界に魅了された戦士たちのお話です。


ヨーロッパカップ、イタリアはタルビシオ大会、

DownHill(DH:滑降)のレースが開催されました。


ジャパンナショナルチームが一時帰国する前の高速系レースです。

どのような結果が彼らに突きつけられたのか?

そして、σ(^^たちはどこまでその事実を理解出来るのか?

「リザルト」だけで読み解いていくシリーズ、コンマ1秒の世界を想像していきましょう♪

リザルトをお手元に、本日もお付き合いください(^^


この日のコース上には、厚い雲が垂れ込めていました。

「Mostly Cloudy」、ほとんど曇りという、

実に英語らしい表現で天候が発表されています。


気温は、スタート地点で-12℃フィニッシュ地点は-4℃

コースは昨日までと同じ455mの標高差


標高が100m上がると気温は0.6℃下がると聞いたことがあります。

同じような大気条件だとしたら、455mだと3℃弱の気温差しかないのですが、

この朝のこれだけの気温差は、寒気が張り出していたのが原因でしょうね。


どのあたりまでが冷たい空気だったのかわかりませんが、

コースの前半と後半はコンディションが違うことがわかります。

その違いについては後ほど(^^


コースセットは昨日までと全く同じですので、省略!

インスペクションでは、雪質やコース上での風景、目標物を再確認してレースに備えます。


ではここで、スタートを待ちわびる選手たちの順番を確認していきましょう。


女子選手が9カ国20名。

男子はビブナンバー(ゼッケン番号)21番から。


Visually Impaired(VI:視覚障害)クラスが21番から28番、ジャパンのエントリーは無し。


Standing(立位)クラスは29番から53番。

ジャパンチームは小池岳太選手が44番三沢拓選手が49番のスタート。


Sitting(チェアスキー)クラスが54番から73番。

ジャパンチームは、鈴木猛選手55番狩野亮選手57番

            森井大輝選手60番夏目堅司選手69番

以上、14カ国53名のエントリーです。


今季初のDHレース。みんなどんな気持ちで迎えたかな?

昨日2本目のトレーニングランで、

Sittingクラスのラップ(トップタイム)を叩き出した狩野選手はノリノリか?(^^

さあ、1本勝負で行われたDH!その結果はどうなった???


ジャパンが誇るスピードスター狩野亮選手!

堂々のSittingクラス優勝!!

おめでとう!!!(^^


昨年末の菅平で会った時には、まだセッティングで悩んでいたようでしたが、

高速系ではしっかりと調子を合わせてきたようですな♪


狩野選手の優勝タイムは、2位と0.16秒差!

早口で「あいうえおかきくけこ」の「あい」すら言えない時間。

いったいどんな差だよ(^^;


フィニッシュラインでのスピードがどの程度出ていたかわかりませんが、

80km/hだったとして、2位の選手との距離は3m強!

1分ちょいをぶっ飛ばして滑り降りて、軽自動車1台分の長さしか差の付かない勝負(^^;

なんとシビアな世界でしょうか....


では、1レース目の最終結果です。


Men's Downhill1

Standingクラス
12位 小池岳太選手
18位 三澤拓選手

Sittingクラス
優勝 狩野亮選手
5位 森井大輝選手
8位 鈴木猛史選手
9位 夏目堅司選手

みんなしっかりと完走して結果を残しました(^^


ところでこのレースのSittingクラス

狩野選手からちょうど1秒で、7位の選手がフィニッシュしております。

早口で「あいうえおかきくけこ」と言う間に7名の選手がフィニッシュしたのです。


まさにコンマ以下の戦い!

この臨場感を実感出来ないのがもどかしい!(^^;


さて、先に書きましたコース上で気温の変化がある場合の影響について、少し簡単にご説明♪


気温が低くなれば空気は収縮し、密度が上がります

その分、たくさんの空気をかき分けて滑ることになりますので、空気抵抗は増えます

こういったコンディションでは、スピードを殺さずに滑ることがキモとなります。

つまり、体型がスマートな選手が有利と言うこと。


体型がごっつい選手は出来る限り、

少しでも多くの時間で身をかがめ、空気抵抗を少なくする必要があります。


今回のように、コース途中で多くの温度差があるようなレースでは、

こういった攻め方も必要になってくるのではないかと愚考する次第です(^^


さて、今回のタルビシオ大会では期間の前半にキャンセルが相次ぎましたので、

この日は2レースが立て続けに行われました。

2レース目のリザルトはこちら


全く同じコースが使用されましたので、

2レース目のコース紹介も省略させて頂きます(^^;


天候は少し悪くなりましたね。

「Light Snow」ですから、少し雪模様というところですか。


1レース目にのしかかっていた寒気は抜けていったようで、

スタート地点-4℃フィニッシュ地点で0℃となっています。

コース全体が同じ性質の空気に包まれているはずなので、

1レース目のような空気抵抗の影響は少なくなっているでしょう。


では、2レース目のスタート順をご紹介!


1レース目と同じく女子選手は9カ国20名のエントリー。

男子はビブナンバー(ゼッケン番号)21番から。


Visually Impaired(VI:視覚障害)クラスが21番から28番、ジャパンのエントリーは無し。


Standing(立位)クラスは29番から53番。

ジャパンチームは小池岳太選手が44番三沢拓選手が49番のスタート。


Sitting(チェアスキー)クラスが54番から73番。

ジャパンチームは、狩野亮選手58番森井大輝選手59番

            鈴木猛選手61番夏目堅司選手69番

以上、こちらも1レース目と同じ、14カ国53名のエントリーでした。


「亮ぁ、このレースも獲っちゃう?(笑)」なんて、すぐ後の森井選手が冷やかして。

で、狩野選手も「いっちゃいますか♪」なんて応えたり(^^

(注:そんな会話があったかどうか、ホントの所はわかりません^^;)


さあ、いろんな想像(妄想)の後、

全ての選手がフィニッシュを切った2レース目の結果はどうなった???


Men's Downhill2

Standingクラス
15位 小池岳太選手
18位 三澤拓選手

Sittingクラス
4位 狩野亮選手
5位 森井大輝選手
11位 夏目堅司選手
12位 鈴木猛史選手

狩野選手の連勝はならず!残念!(^^


このレースもSittingクラスでは、1秒の間に7名の選手がフィニッシュしてます。

アルペンの高速系レースではミスとも言えないミスで大きくタイムをロスしますので、

トップ争いなんて「運」次第なところもあるんでしょうねぇ。


鈴木選手は中間で7番手タイムだったのに、結果は12位。

きっと彼も、本当に些細なミスをしてしまったんでしょう。


スキーにはアクセルもなければ、

モータースポーツのように前走者のスリップストリームも利用出来ません。

「あっ!」と思った瞬間に勝負が決まってしまったりする恐ろしいレースです(^^;


恐ろしいと言えば、リザルトを見て少し気がついたところありません?

この日の2レース、Sittingクラスのレースポイントがヤケにでっかくないですか?


レースポイントは3クラス統合したタイムで計算されるので、

こういう結果になってしまっているんです。

でも、Sittingクラスの全員が、大きくタイムを落としたということではありません。

これは、チェアスキーという特性が影響しています。


アルペンスキーという競技は、スピードが命。

アクセルのないスキーでスピードを出すには、

雪面との摩擦抵抗を少なくすることが絶対条件です。

そのため、選手たちは「目が飛び出るような値段」のワックスを、

惜しげもなくスキー板に塗り込んでいます。


2本のスキーで滑るVIクラスSittingクラスの選手は、

その体重が2カ所に分散されますので抵抗は少なくなりますが、

逆に、SittingクラスのLW2(1本スキー)の選手やSittingクラスでは、

1本のスキーに全体重が乗っかりますので、雪面の抵抗はものすごく高くなります。

さらに、チェアスキーでは10kg以上ものフレーム重量も加わります。


これでは、どんなにスキー板のチューンナップをしたとしても、

スピードなんて上げられるはずもありません。

スピードが上がらなければタイムは出ない。

タイムが出なければ、レースポイントは巨大にものになるという仕組み。


これはルールで決められていることですので、

仕方ないっちゃぁ仕方ないのですが、ちょいと納得出来ませんよねぇ....(^^;


Sittingクラスで、コンマ何秒差の勝負に競り勝ったのに、

構造上の理由で80とか90とかのポイントしかもらえない。

これは、IPCには早急にルール改正をしてもらうべきでしょうね。


もうひとつ、恐ろしいことというか想像ですが。

この日の2レースともDid Not Start(欠場)だった中に、

GREEN Ralph(USA、Standingクラス:LW2)という選手がいます。


ごっつい体格の黒人選手で、

かつて、八方尾根で開催されたワールドカップで会った時、

腕相撲の勝負を申し込んだことがあります。

「Youの腕を壊したくないんだ」と丁重に断られました(^^;


で、このNice Guy、ラルフ選手は経歴も異色で、高校時代はクォーターバック

アメフト好きのσ(^^にとっては、これだけでもすげーっ!て思うのですが、

なぜ片足になったかという理由も異色。


話を聞いてみれば、ショットガンで足を吹っ飛ばされたそうです。

いま銃規制で揺れている、アメリカならではの受障理由(^^;


で、このラルフ選手、昨日のトレーニングラン2本目でDNF。この日の2レースは欠場。

ということはなんですか?昨日、シャレにならない怪我しちゃったとか?


ちょいと打撲がひどいからスタートを見合わせたという程度ならいいのですが、

大事のないことを祈っております....


DHのような高速系レースでは

最悪の場合、体がバラバラになってしまうような深刻な事故も起こりえます。


勝った負けただけの軽々しいイベントではないことも、

ある意味でレースを盛り上げている要因のひとつではないでしょうかねぇ(^^

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