一度だけ、マイナス18度の気温の中でレースをしたことがあります。
前夜の強風で磨き上げられた氷の上に、赤と青の旗門がリズムよく、
しかし無慈悲に立てられているコースを見たとき、
「人間って限界に挑戦する生き物なんだ」と実感しました。
当日は快晴、風は微風。普段なら最高のスキー日和です。気温を除けば....
まあ、こんな事はナショナルチームのメンバーには
日常茶飯事なんでしょうけど(^^;
そんな状態でしたので、ワックスなんてどうしていいかわからずに、
とにかく一番堅いワックスを塗り込みました。
正直、滑る滑らないは正直どうでもよく、
ケガさえしなければラッキーという気持ちで
スタートするしかなかったのですが....
このぐらいの気温になると、水の膜がうにゃうにゃとか、
そんなに関係ない気がします。
磨き上げられた氷のコースとはいえ、
目の細かいヤスリのような雪面になっているわけです。
柔な滑走面では、あっという間に削り取られていくことでしょう。
滑走面材質のポリエチレンが削り取られるということは、
滑走には抵抗になりますので、削り取られないような堅さのワックスで、
滑走面を守る必要があります。
まあ、ここまでくるとワックスは滑走面のヨロイですね(^^
撥水性のある滑走面から堅い雪面に耐え抜く滑走面、
そのバランスをいかに取るかということが
ワックスセッティングの妙ということですね。
ちなみに、雪の結晶というものは、
ほぼ同じ形の結晶が降ってくるということはないそうです。
ありとあらゆる条件で雪の人工結晶を作り続けた、
アメリカの科学者が言っていました。
「すでに、数百万種類の雪を作った」と。
つまり、あらゆる雪面に完璧に併せたワックスセッティングというものは、
あり得ないということです。
そのため、最近製造されているワックスは、どんどん適応範囲が広くなっており、
どんなに状況が変わっても、ある程度対応できる製品となってきています。
おかげで、ワックスの選択では、
頭を使わなくていいので楽をさせてもらってます(^^;
次回ワックス編最終回(ワックス編だったのか^^;)
「ころころと移り気するよりもたったひとつを愛した方がよい」
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